2024年4月14日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月7日

 中国の対北朝鮮石炭購入の中止を協力姿勢への転化として過大に評価すべきでないとするのは、その通りでしょう。もっと早く当然にやるべきものだったからです。そもそも2016年3月の安保理決議2270で加盟国に求められていたことです。その抜け穴(中国が決議作成に当たり挿入した)を規制するために11月に安保理決議2321が採択されました。この社説はそれでも2016年の中国の石炭輸入は過去最大になったといいます。それにより北朝鮮は既に潤沢な外貨を入手しているということです。北朝鮮の貿易の約9割を占める中国には責任がありますし、果たすべき役割があります。

 過去20年余、北朝鮮は核開発を進め、次に運搬手段であるミサイルの開発を進め、同時にミサイルの残存性も高めています。米国が軍事諜報分野でいかなる行動をとっているのかは定かではありませんが、おそらく北朝鮮は米国の対応にいちいち対抗するようにミサイルを飛ばす能力を持ってきているのでしょう。更に金正恩は米国等でレジーム・チェンジの議論が起きていると見れば金正男を殺害してレジーム・チェンジの芽を摘みます。

 北朝鮮は、2月12日のミサイル発射に次ぎ、今月6日には北西部の東倉里から4発のミサイルを同時発射しました。安倍総理は「新たな段階の脅威」になっていると述べましたが、予知が難しい地上配備、固体燃料化を指しているのでしょう。今年の米韓合同演習に対抗したものと言われていますが、北朝鮮は「在日米軍の攻撃」の訓練をしたと言っています。いずれにしても、日本にとって直接の脅威となります。他方、米国は金正恩が公言したICBM発射実験に大きな関心を持っています。

トランプの出方を試す

 北朝鮮は、トランプ政権の出方を試しています。トランプ政権の向う見ずさ、予測の難しさは北朝鮮にとって恐怖になっているに違いありません。中国もトランプ政権の出方を試しています。当面適切な対応をして米国の信頼性を確立しておくことが望まれます。そしてしかるべき状況になれば米朝交渉をする必要があるように思われます。交渉では先ず「凍結」、ディスエスカレーションといった現実的な目的達成が重要となるでしょう。軍事等による全面的な解決を望みうる時代はとっくに過ぎ去っているように思えます。中国と並んで、ロシアの関与の確保も重要と思われます。

 なお目下トランプ政権内部で対応策を検討中といわれますが、報道等を基礎に理論的なものも含め挙げれば次の通りです。
① サイバー対応の強化(イランの事例がある)
② 制裁の強化(対中金融制裁、対北石油貿易の規制等)
③ THAADの韓国追加配備、戦術核の韓国再展開(韓国内に支持あり)
④ 米テロ支援国家リストに再指定(マレーシアでの金正男暗殺)
⑤ 軍事攻撃(発射基地攻撃論。リスクが高い)
⑥ 六カ国協議再開、米朝交渉(北朝鮮は平和協定交渉を求め中国も支持)
⑦ 新MD技術(発射前無能化技術)
⑧ レジーム・チェンジ(後継政権を含め実現可能か)

 誰が北朝鮮の核・ミサイル開発を支援しているのでしょうか。国内にそれなりの産業能力等があるように見えます。コンピューター、部品、汎用品などは中国等から来ているのでしょうか。技術者は如何に確保されているのでしょうか。資金の調達は如何に確保されているのかなど、諜報が重要です。

  
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