2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2009年2月20日

改善の契機は
教員免許の更新と教職大学院

 第三は、教育学の再構築である。

 教育学の閉鎖性は問題だが、これは、学者ひとりひとりの人格の問題というより、現場から乖離しているという構造的問題である。そのため、現場と教育学がつながり合うシステム構築、例えば、教員免許の更新制や教職大学院によって、改善されると考える。

 教員免許の更新制の発足によって、今後教職員は免許更新のために10年ごとに教育学者から更新講習を受ける。講習受講料約3万円は受講者本人が支払い、講習期間は30時間以上(概ね5日間)で時間もかなりかかる。そうなれば、へたな講習では、受講者の納得は得られない。まして、受講者は現場教師だけでなく、教員免許を所持している塾の講師など、学校以外の教育のプロもいる。だから、受講者による講師の評価制度をつけることができれば、現場で役に立たない講習はなくなることが期待できる。

 また教職大学院というのは、現場の教職員が教員でありながら、学び直す制度だが、ここでの講師の何人かは現場で評価された者を入れることになっている。校長にならなくても現場でがんばっている教師が評価される方法が広がることで、教育学と現場はつながり合っていくことが期待される。

 こうしたことが制度的に確立してくれば、先程のように、何ら根拠も示さないまま現場を批判するというような無責任な学者は出て来る余地はなくなる。

 とにかく、教育は待ったなしの状況である。大阪では、2年連続で低迷した全国学力テストで、三度悪い結果は出さないということをスローガンに改革を進めている。今年の秋には、改革の最初の結果が出てくる。これにはずみをつけ、その勢いですぐに全国の改革につなげていきたいと考えている。

◆「WEDGE」2009年3月号より

 


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