デメリットも少なくない
ただしデメリットももちろんある。まず、クッキーやキャンディの形態をした大麻製品を子供が誤食してしまい、病院に運ばれる、という騒ぎが特にコロラド州では頻繁に起きている。また連邦政府が非合法としている以上、ディスペンサリーはビジネスとして銀行口座を持つことができない。購入もカードは不可、キャッシュオンリーとなる。ディスペンサリーの店員は「文句があるなら連邦政府に言ってくれ。自分たちも不自由している」という。
現金ビジネスだけに、それを狙う強盗被害も多くなる。さらに、他州から比較的安い大麻を大量に買い付け、非合法である州での地下ビジネスに繋げる向きがあることも指摘されている。
また、需要の増大に従い大麻の卸売価格が下落している。コロラド州では16年の卸売価格は前年比24.5%ダウンの1ポンド(約450グラム)あたり1471ドルだった。これは医療用大麻を栽培していた小口農家を直撃する。大麻には将来のビッグビジネス化を見越してシリコンバレーのIT企業の参加も見られ、大規模栽培時代が始まろうとしているが、これまでの小規模農家は生き残れないことにもなりかねない。
米では昨年の住民投票でカリフォルニア、マサチューセッツを含めて7つの州が新たに大麻合法化に乗り出すことになった。最も注目されるのはカリフォルニア州で、現在医療用大麻は合法化されている同州では医療用だけで年間100億ドルもの売り上げがある。これにレクリエーション用を加えるとまさに大麻ビッグビジネス時代の到来となる。この市場を狙い、今後様々な企業や業界が大麻ビジネスに乗り出す可能性があるのだ。
カリフォルニア州ではすでに来年からの合法化に向け、法整備が進められている。コロラドなどの前例から、信用組合のような銀行制度を作り大麻業者が利用できるようにする、大麻業者が現金を長い距離持ち歩かなくて済むようにあちこちに大麻業者専用の納税窓口を設ける、なども含まれる。しかし州政府のアドバイザリーグループが「大麻ビジネスへの出資を控えるよう」呼びかけるなど、連邦政府が大麻を非合法とする中での州ごとの合法化は今後様々な問題を提示する可能性がある。
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