2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2017年4月27日

 ただ、その暫定道路も、移転延期によって建設が止まったままだ。昨年11月に豊洲へ移転していれば、暫定道路を建設でき、昨年末にも環2全線がつながる予定だったが、「小池知事の移転延期発表で、環2にかかわる計画が全て飛んでしまった」(吉田不曇(うずみ)中央区副区長)のである。

 環2を通り選手村と都心を結ぶBRT(バス高速輸送システム)の導入も、従来は2019年度内に運行開始とされていたが、小池知事による「都民ファーストでつくる『新しい東京』~2020年に向けた実行プラン~」では、「環状第2号線の整備状況に合わせて、BRTの運行を、順次開始する」との文言になり、具体的な運行開始時期が抜け落ちた。

 17年春頃に設立が予定されていた、都と京成バス(千葉県市原市)が共同出資する運行会社の設立時期も延期されることとなった。

 当初の計画では、都内の平均的な車の速度と停留所での乗降時間から算出して、新橋から選手村に近い晴海3丁目までの所要時間は10分程度と見込んでいた。しかし、暫定道路のままBRTの運行が続いた場合、車線数が減り、かつ信号待ちの影響なども考えられるため、「想定していた運行ダイヤに影響する可能性がある」(東京都都市整備局の小原誠司担当課長)。

 また、都が国際オリンピック委員会(IOC)に提出した保証書で確約した「輸送インフラの整備事業をスケジュールどおり実施する」ことにも支障が生じる恐れがある。都のオリンピック・パラリンピック準備局松本祐一関係輸送担当課長は、「IOCには環2についての進捗状況を適宜報告しており、最終的な了解を得て、大会時の適切な運用が見通すことができれば問題ない」と語るが、移転の決断が遅れれば遅れるほど状況は悪くなるばかりだろう。開催時の周辺地域の渋滞悪化は避けられない。

決断は「都民ファースト」で

 「知事は、移転延期がその後どんな影響を与えるかまできちんと考えて決断をしたのか甚だ疑問だ」。「そもそもどうして今頃こんな話になるのか」。

 こんな声が他の都庁関係者からも漏れ伝わってくる。一度決まった方針を翻し、かつ決定の時期も曖昧なままの小池知事には関係者も痺れを切らしている。今、最も辛いのは今後の方針が決まらないために、計画を前に進められないことだと口を揃える。


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