やはり起業家であり投資家としても有名なスコット・ベルスキーは独創的なコメントが目立つ。例えば、次のような具合だ。
I avoid using a past success as a proxy for the future. After all, the dirty little secret is that every success was almost a failure. Timing and uncontrollable circumstances play more of a role than any of us care to admit.
「過去の成功を、将来への参考にしないようにしている。結局、ぱっとしない秘密だが、すべての成功は一歩間違えば失敗だった代物だ。タイミングと、自助努力ではどうしようもない外部要因が果たす役割のほうが、自分たちが思っている以上に大きいのだ」
I challenge myself to stop comparing what I learn to the past. If you only look for patterns of the past, you won't venture far.
「自分が学んだことを過去と比べないようにしている。過去のパターンだけに気をとられると、大きな躍進は決して望めない」
金銭的な余裕を確保したうえで、
映画業界でキャリアを形成
ハリウッドの俳優も何人か本書には登場する。ケビン・コスナーやエドワード・ノートンらがインタビューに応じている。アーノルド・シュワルツェネッガーは本書の筆者と仲がいいようで、本書に序文も書いている。インタビューを読むと、シュワルツェネッガーはかなりビジネスセンスがある人のようだ。ハリウッドで成功する前に、すでに不動産投資などで資産を築いていたという。そこには、彼なりの戦略があったと語っている。
“[Early on] I did not rely on my movie career to make a living. That was my intention, because I saw over the years, the people that worked out in the gym and that I met in the acting classes, they were all very vulnerable because they didn’t have any money, and they had to take anything that was offered to them because that was their living. I didn’t want to get into that situation.
「(初めのころ)生活するために映画業界での仕事に頼ってはいなかった。あえて、そうした。長年にわたり、ジムで鍛錬している人や、演技指導クラスでいろんな人に出会ったが、お金がないために彼らはみな苦労していた。そのため、かれらは生活のために、オファーされた仕事をなんでも引き受けざるを得なかった。わたしは、単にそうした立場に追い込まれたくなかったのだ」
貧すれば鈍する、とならないために、金銭的な余裕を確保したうえで、映画業界での自身のキャリアを形成していったというのだ。ビジネスマンにも参考になる考え方だ。
アメリカ海軍の特殊部隊で活躍したJocko Willinkという伝説的な人物も印象的だ。彼の次の言葉はやはり、会社組織で働くビジネスマンの参考になる。
You can’t blame your boss for not giving you the support you need. Plenty of people will say, ‘It’s my boss’s fault.’ No, it’s actually your fault because you haven’t educated him, you haven’t influenced him, you haven’t explained to him in a manner he understands why you need this support that you need.
「必要なサポートをしてくれないと、自分のボスを批判してはいけない。多くの人たちが、『それはボスがだめだからだ』と言うが、それは違う。実際には、そういう自分がだめなのだ。なぜなら、ボスを説得しなかったのは自分のせいだし、ボスを動かせなかったのも自分だ。自分が求めているサポートがなぜ必要か理解できるようにボスに説明しなかったのは自分だからだ」