ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年5月11日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

ネットの「食品安全情報」利用上の注意点

 ビジネスパーソンたちは「食の安全情報」をどこから入手しているのだろうか? さまざまな調査から(特に調査をしなくても推察はつくだろうが)食の安全情報の入手先は、テレビ(ラジオ)、新聞(雑誌)、ネット、伝聞(知人)、専門家等の5つくらいになるだろう。それぞれに特徴はあるのだが、ここでは、ビジネスパーソンが利用することが多いであろうネット情報の利用法について書いてみたい。

 ネット情報のほとんどは2次情報・3次情報である。つまり「誰かの価値判断」がすでに入っている。これはテレビ・新聞・伝聞についても変わりがない。ネット情報の大きな問題点は、情報の発信源が「まったく」といっていいほど不明なこと。そして(都合が悪くなるなどの理由で)いったん消えてしまうと追跡できなくなること。
 
 そのためであろうが、ネット上には(他の情報源と比較しても)無責任な情報が氾濫しやすい。鵜呑みにして実践したり、他人に伝えたりすると、多大な被害を生ずることもある。ちなみに私は(参考になるかどうかわからないが)ネット上の健康情報を見るにあたっては、単なる解説は8ガケ(2割減)にして、その理由や原因に関しては5ガケ(話半分という程度)にして、実践に関しては2ガケ(ほとんど信用しない)にして、とり入れている。

 ここで、専門家が「その情報のエビデンス」を確かめる際に用いる方法をご紹介しておく。ある情報に出会ったら、「その逆の結果を示す情報」を全力で探しに行く。両方がそろったらその比較をする。反対の情報が見つからない場合は、探し方が悪いか努力が足りないかのどちらかだと心得るべし(存在しないわけがない、ので)。

 また、検索サイトで上位にきているからといって、それをアタマから信用したりはしないこと。「出所」が1つだったりすることは、よくある。次には、その情報が「イロ付き」かどうかを確認する。仮にスポンサーが付いていたからといって、その情報が全く正しくないとは決めつけられないが「それなりの判断」は必要だろう。

日本の食品はおしなべて安全である

 このように書いてくると「そんなに面倒なの!?」と困惑する人もあるだろう。「そもそも、ネット情報に詳しくない人はどうするの!?」というツッコミも入るかもしれない。「忙しいから、そんなことに時間をさく余裕がない」というビジネスパーソンも多かろう。

 まったくその通り。では、そういう場合はどうすればいいのか? ネットを使える人なら、少なくとも1つだけは調べよう。それは食品安全委員会のホームページだ。日本の食品安全に関しては、食品安全委員会ほど、情報量の豊富さ・立場の中立性・科学的レベルの高さにおいて、優れている機関(組織)はほかにない。

 それさえも面倒な人、あるいは(年配者等で)ネットの使い方に習熟してない人はどうすればいいのか? 何も調べなくても大丈夫。日本国内で販売されている(入手できる)食品は、食材であれ加工食品であれ、「食べて危険な物」はほとんどない。すべて安心して食べればよい。

 現在の日本においては、食の安全性は「食べ物」よりも「食べ方」によるところが大きい。本来は安全である食べ物を、日向に長時間置いておいて「安全じゃなくして食べる」ようなことによって、私たちの健康が害されることのほうが多い。あるいは、安全な食べ物を、大量に食べて健康を害することも少なくなかろう。

 法律に基づく安全な「食べ方」は表示がされてある。冒頭に書いた「赤ちゃんが食べたハチミツの危険性」は、容器に(ネット情報ではなく!)その旨が書いてあることが多いはず(法律で決められた義務表示ではなく自主表示なのだが)。赤ちゃん、病人、高齢者の食に関しては、面倒くさがらず「食品表示」を確認しなくてはならない。

 健康な大人にとって、基本的に、日本の食べ物はおしなべて安全である。

 ただし、このこと(すべて安全)は「日本の法律を守っている限り」という条件は付く。法律を守ってない食品の安全性は保証はできないのだが、これに関しては、正直いって「なすすべ」がない=避ける方法がない。警察等に取り締まってもらうしか手立てはない(これは「食品安全」のことに限らない)。ここで議論する話ではない。

  
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