2024年4月27日(土)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年5月11日

ネットの「食品安全情報」利用上の注意点

 ビジネスパーソンたちは「食の安全情報」をどこから入手しているのだろうか? さまざまな調査から(特に調査をしなくても推察はつくだろうが)食の安全情報の入手先は、テレビ(ラジオ)、新聞(雑誌)、ネット、伝聞(知人)、専門家等の5つくらいになるだろう。それぞれに特徴はあるのだが、ここでは、ビジネスパーソンが利用することが多いであろうネット情報の利用法について書いてみたい。

 ネット情報のほとんどは2次情報・3次情報である。つまり「誰かの価値判断」がすでに入っている。これはテレビ・新聞・伝聞についても変わりがない。ネット情報の大きな問題点は、情報の発信源が「まったく」といっていいほど不明なこと。そして(都合が悪くなるなどの理由で)いったん消えてしまうと追跡できなくなること。
 
 そのためであろうが、ネット上には(他の情報源と比較しても)無責任な情報が氾濫しやすい。鵜呑みにして実践したり、他人に伝えたりすると、多大な被害を生ずることもある。ちなみに私は(参考になるかどうかわからないが)ネット上の健康情報を見るにあたっては、単なる解説は8ガケ(2割減)にして、その理由や原因に関しては5ガケ(話半分という程度)にして、実践に関しては2ガケ(ほとんど信用しない)にして、とり入れている。

 ここで、専門家が「その情報のエビデンス」を確かめる際に用いる方法をご紹介しておく。ある情報に出会ったら、「その逆の結果を示す情報」を全力で探しに行く。両方がそろったらその比較をする。反対の情報が見つからない場合は、探し方が悪いか努力が足りないかのどちらかだと心得るべし(存在しないわけがない、ので)。

 また、検索サイトで上位にきているからといって、それをアタマから信用したりはしないこと。「出所」が1つだったりすることは、よくある。次には、その情報が「イロ付き」かどうかを確認する。仮にスポンサーが付いていたからといって、その情報が全く正しくないとは決めつけられないが「それなりの判断」は必要だろう。

日本の食品はおしなべて安全である

 このように書いてくると「そんなに面倒なの!?」と困惑する人もあるだろう。「そもそも、ネット情報に詳しくない人はどうするの!?」というツッコミも入るかもしれない。「忙しいから、そんなことに時間をさく余裕がない」というビジネスパーソンも多かろう。

 まったくその通り。では、そういう場合はどうすればいいのか? ネットを使える人なら、少なくとも1つだけは調べよう。それは食品安全委員会のホームページだ。日本の食品安全に関しては、食品安全委員会ほど、情報量の豊富さ・立場の中立性・科学的レベルの高さにおいて、優れている機関(組織)はほかにない。

 それさえも面倒な人、あるいは(年配者等で)ネットの使い方に習熟してない人はどうすればいいのか? 何も調べなくても大丈夫。日本国内で販売されている(入手できる)食品は、食材であれ加工食品であれ、「食べて危険な物」はほとんどない。すべて安心して食べればよい。

 現在の日本においては、食の安全性は「食べ物」よりも「食べ方」によるところが大きい。本来は安全である食べ物を、日向に長時間置いておいて「安全じゃなくして食べる」ようなことによって、私たちの健康が害されることのほうが多い。あるいは、安全な食べ物を、大量に食べて健康を害することも少なくなかろう。

 法律に基づく安全な「食べ方」は表示がされてある。冒頭に書いた「赤ちゃんが食べたハチミツの危険性」は、容器に(ネット情報ではなく!)その旨が書いてあることが多いはず(法律で決められた義務表示ではなく自主表示なのだが)。赤ちゃん、病人、高齢者の食に関しては、面倒くさがらず「食品表示」を確認しなくてはならない。

 健康な大人にとって、基本的に、日本の食べ物はおしなべて安全である。

 ただし、このこと(すべて安全)は「日本の法律を守っている限り」という条件は付く。法律を守ってない食品の安全性は保証はできないのだが、これに関しては、正直いって「なすすべ」がない=避ける方法がない。警察等に取り締まってもらうしか手立てはない(これは「食品安全」のことに限らない)。ここで議論する話ではない。

  
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