2024年12月18日(水)

WEDGE REPORT

2017年5月22日

沈没船から逃げ出すネズミたち

 フリン氏や、ロシア側と接触していた疑惑のあるトランプ陣営の元選対委員長マナフォート氏はホワイトハウスには既におらず、問題の高官はこれら人物ではない。また駐米ロシア大使と会っていたセッションズ司法長官もホワイトハウス高官ではない。

 ロシア側と接触していたことが判明しているホワイトハウス高官はトランプ氏の娘婿で、側近ナンバー・ワンであるクシュナー上級顧問だけだ。同氏は昨年11月にロシアのキスリャク駐米大使と会ったことが分かっている。またロシア開発銀行の頭取とも会談していたことを同氏自身が認めているが、FBIが同氏を重要参考人として検討しているとすれば、政権の屋台骨が揺るぎかねない激震となる。

 トランプ氏は現在、26日からイタリア・シチリア島で行われるG7首脳会議に先だって中東を歴訪中だが、帰国後にホワイトハウスの人事を大幅に刷新する考えといわれる。ホワイトハウスの内外から批判の強いプリーバス首席補佐官の更迭などが取り沙汰されている。

 しかし、ホワイトハウスの混乱と機能不全はツイッターなどで一方的に発信するトランプ氏に原因がある。危機を招いているのは自らの言動なのだ。ところが同氏は広報の無能さや一向になくならないリークをあげつらっては部下に八つ当たり、特別検察官の任命を「魔女狩り」と罵っている。

 こうしたトランプ氏に嫌気を差し、沈没船から逃げ出すネズミのようにホワイトハウスから去ろうとする当局者も出始めている。履歴書を人材コンサルティングに送り、転職を真剣に検討している者もいる、という。「ワシントンで最悪の仕事はトランプに仕えること」(米紙)という見出しが踊る所以だ。人事を刷新しても、ホワイトハウスに活気とやる気が戻るのは容易ではないだろう。

  
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