2024年4月26日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2017年6月15日

ブライトバート・ニュースとFOXニュースの反応

 大統領首席戦略官スティーブン・バノン氏が会長を務めていたブライトバート・ニュースの反応は早かったです。即座に、今回の公聴会でニューヨーク・タイムズ紙の記事がフェイク(偽)であったことを確認したという見出しの記事を掲載しています。主要メディアは偽りであり、ブライトバート・ニュースが真実だと信じているトランプ信者に訴えているのです。

 同様に、FOXニュースもトランプ大統領を擁護しました。中でもトランプ大統領の応援団と見られている人気番組「ハニティ」は、第1にニューヨーク・タイムズ紙は不正確な情報を流したこと、第2にコミー前長官本人が情報提供者であったこと、第3にオバマ政権のロレッタ・リンチ前司法長官が、FBIが行っていたヒラリー・クリントン元国務長官のメール問題の捜査妨害をしたことが明確になったと報じています。

コミーの誠実さ

 今回の公聴会でトランプ・コミー両氏はダメージを受けたので、双方が敗者であるという見方があります。トランプ支持者から見れば、コミー前長官、ニューヨーク・タイムズ紙及びリンチ前司法長官が敗者になるでしょう。一方、クリントン支持者の立場に立てば、トランプ大統領の司法妨害の可能性が高まったと捉え、同大統領を敗者にするでしょう。

 筆者が最も注目した証言は、2017年1月27日のホワイトハウスでの夕食会でトランプ大統領がコミー前長官に忠誠を求めたとされる場面です。同前長官は、「ぎこちない沈黙の中で、私は動かず、話さず、表情も変えなかった。私たちは単に黙ったまま、お互いを見つめ合った」と述べています。この場面は、将来映画の一シーンになるかもしれません。

 組織で仕事をしていれば、誰でも多かれ少なかれ上司から圧力をかけられた経験を持っているでしょう。視聴者の中には、コミー氏と自分を置き換えて同氏に感情移入を行い、理解を示した人もいるはずです。トランプ大統領と同氏の双方がダメージを受けたにせよ、筆者は詳細な書面を提出し、誠実な印象を与える証言を行ったコミー氏に軍配が上がったとみています。

  
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