2024年4月25日(木)

韓国の「読み方」

2017年7月4日

米国は日韓関係の悪化を警戒か

 共同声明には「両首脳は、域内関係を発展させ、韓米日3国の協力を増進していくという公約を再確認した」という文言も入った。日韓関係の悪化を警戒する米側が入れたようだ。

 米国の東アジア政策は、日韓それぞれとの同盟関係に立脚している。日韓の協力がスムーズに進まないと米国には不要な負担となる。その考えは、1960年代前半に早く国交正常化を進めるよう日韓両国に圧力をかけた時から一貫している。オバマ前大統領は、慰安婦問題を巡って険悪な状況に陥っていた日韓関係を改善させるよう両国に働き掛けた。

 直近の状況では、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)と慰安婦問題を巡る日韓合意の関係が分かりやすいだろう。米国の外交官は、「日韓がGSOMIAを締結することは米軍にとっても利益となる。そしてGSOMIAが(16年に)締結できたのは、前年末に慰安婦問題の合意があって日韓関係が好転したからだ」と話す。

 だから、日韓合意を維持することは米国にとっても望ましいということになり、文氏が「再交渉」を言い出すことは歓迎できない。

 損得勘定の話だから、この認識はトランプ政権でも変わっていないのだろう。日本側も留意すべきポイントである。

  
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