「Ice Deli」でアイスクリームを作って見る
何はともあれ、添付されたレシピでアイスクリームを作って見る。材料は以下の通り。
●卵黄 3個分
●牛乳 100ml
●グラニュー糖 大さじ4
●生クリーム 200ml
総量:約300ml強。オーバーラン:100%だと、「Ice Deli」でできるフルボリュームとなる。材料の生クリーム:200mlは、スーパーで買ってもそれなりの価格。3カップ分のアイスが作れるとしても、ほぼ同等か、やや高めの材料費だ。これで美味くなければ、買う意味はない。
その上、アイスの場合、Ice Deliにセットするまでに、少々手間が掛かる。
まず、卵黄、牛乳、グラニュー糖を混ぜ合わせる。これをAとする。混ぜたら氷水を用意。氷水を用意した上で、Aを弱火でゆっくり煮る。混ぜながら煮たち始めたら、火から下ろす。鍋を見ると分かるが、玉が出来はじめている。全部、こそぎ落とすように入れると、アイスクリームの中に玉を作ることになるので、もったいないと思いながら鍋に玉は残す。なめらかでないアイスクリームは、アイスクリームでないのだ。で、別容器に取ったAを氷水で冷やす。
次に生クリームを混ぜる。200mlなので、100円ショップの撹拌器で十分。これも適度に混ぜたら、冷やす。アイスクリーム、シャーベットの場合、材料を冷やすのは重要だ。
で、Aと撹拌した生クリームを、「Ice Deli」に入れセット。『かため』のスイッチを押す。後は、お任せだ。90分位すると、終わったぞのピーピー音。冷凍庫に移す必要があるので、結構、五月蠅いし、しつこい。
できあがりは、満足いくもの。味はシンプルで、なめらか。市販の通常のカップアイスを思い出すと、ここまで味は明確でもなく、美味しくもない。ここまで美味しいと、金を出した価値はあると思う。
手間をかけずにシャーベット!
アイスクリームは、卵、牛乳、砂糖という西洋菓子に近いレシピ。(西洋菓子はこれに小麦粉が入る)このため少々手間がかかる。そうでなく、楽に美味しく食べられないかという人に、お勧めなのが、フルーツジュースのシャーベットである。
こちらはジュースを、適度な量を入れ、「やわらか」のスイッチを押すだけ。砂糖、はちみつすら追加しない。これがかなり美味い。シャーベットだと、甘味の伝わりが遅くなるため、オレンジジュースの場合、少々酸味が強めに出る。
一番のお勧めは、りんごジュース。そのままでドンピシャ。りんごジュースがかなり強い甘味だが、これが丁度イイ。グレープジュースもお勧めだ。1000mlの紙パックは、150〜250円。こちらは完全に「お得」とも言える。
でも、一番いいのは手間が掛からないことだ。忙しい日本の夏にピッタリとも言える。また、ジュースよりは手間だが、牛乳とカルピスを混ぜ、ちょっと砂糖を溶かしたのも美味しい。ジュースは氷の延長の食感だが、こちらはサラサラ。癖になる極めて贅沢な食感だ。
本格的なシャーベットもできるが、面倒がなく、十分美味しいので、「この簡単シャーベットでいいや。」楽なので、つい作ってしまう。ちなみに、リンゴジュースを氷にしてかき氷したモノとは全然別物。違う食感。私には、シャーベットの方がいい感じだ。
技術とマーケティング
「Ice Deli」は「ペルチェ冷却装置」を用いている。ペルチェ冷却装置は、ワインクーラーなどに用いられる冷却装置で、冷媒を用いない半導体素子。小型であることが特長だ。また、無振動、無騒音なため、ワインセラーに用いられる。
2015年のIFAでは、ハイアールのブースでも、当デバイスの展示があったので、当時力を入れていた技術でもある。ハイアールは、Ice Deli2017年の日本市場導入までに2回テストマーケティングを行ったという。カタログ通販で約3000台。ECサイトで約1000台。カタログでは主には50〜70代の人が健康志向のため、ECサイトでは30〜50代の人が美味しさを求めて買って、好評を博したという。
ハイアールは世界NO.1のシェアを持つ中国の白物総合家電メーカー。グローバルに標準機能の製品をリーズナブルな価格で販売している。特長がないわけではないが、標準機能がしっかりしているのに惹かれる。品質はよく好感が持てる。
今回、テストマーケティングを行ったのは、日本にまだアイスクリームメーカーの確固たる市場がないためだ。好評だったので、市販に踏み切ったわけだ。
ひっかかった点
かなり、気分のイイ「Ice Deli」だが、「惜しいなぁ」と思う点が3つある。1つ目は音。ペルチェ素子は静かなのだが、モーター音が少々大きい。そんなに存在感をアピールしなくてもと思う程だ。
2つ目は洗う時。本体の冷却部は取れないので、本体自体を持って洗うことになる。こびり付くことはないので、お湯洗いすればすぐキレイになるとは言え、日本には余りない発想だ。しかし悪いことだけでもない。別途、乾かすスペースが必要ないので散らからない。割と慣れやすいので、特筆すべきことでもないかも知れない。ただ槽だけ取れると、アイスなど、掻き出しやすくなるので、ここは突っ込んで欲しくもある。
3つ目は電源。白物家電の場合は、スマートフォンの様にギチギチになるまでパーツは詰め込まれていない。このため直流モーターを使用する場合でも、ACアダプター(交流直流変換器)を外に出すことはまずない。Ice Deliは本体を持ち上げて、そのまま洗うためか、ACアダプターは外に出ている。しかもこれがかなり大きい。台所にACアダプターは似合わない。
気にしなくても、と思われるかも知れないが、Ice Deliの出来がいいのでついつい気になってしまう。
アイスクリームメーカーは「うまく出来るか」「使いやすいか」がポイント
冒頭に書いた通り、アイスクリームを自分で作っても安くはならない。このためアイスクリームメーカーは「うまく出来るか」「使いやすいか」がポイントになる。「Ice Deli」は、この2点を見事クリア、十分満足できるレベルだ。
また一度要領が分かると、いろいろなモノを作ってみたくなる。この組み合わせなら、どんな味、舌触りだろうと、創作欲を刺激する。本格的なアイスもイイが、ジュースを入れるだけでできるシャーベットのポイントが高い。
なくても生活はできるが、コーヒーメーカーと同じ様に、あると生活にハリができる。また砂糖分のコントロールも自分の意志でできるので、多めにアイスクリームを食べるのもありだ。悩みながらアイスと付き合うのではなく、楽しみながらアイスと付き合いたい人にお勧めの一品といえる。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。