2024年4月26日(金)

家電口論

2017年7月27日

 東京オリンピック時の展示会場問題は、オリンピックの問題としては三番手、もしくは四番手である。このため競技会場問題他の蔭に隠れてしまう可能性があり、3月に詳しくレポートさせて頂いた『オタクの悲鳴だけではすまない、東京ビッグサイトが使えない深刻度』。当レポートはその続編に当たる。

まずは問題点の整理から

 そもそもの始まりは、東京五輪を安く上げたいという思いから始まる。五輪の費用がかさみはじめるようになったのは、某国がエンターテイメントに力を入れた演出をし始めてから。確かに面白い。五輪は隆盛を極めるが、掛かる費用も馬鹿にならない。開催国の費用負担がバカにならないのは、古今東西を問わず祭を盛大に催す時の問題であることも事実だ。

(DAJ/iStock)

 しかし新興国ではイイこともある。海外の人を迎え入れるので、国のインフラ整備が行われるからだ。昭和39年(1964年)の東京五輪もその通りだったと聞く。何もなかった原宿など、山の手が一気に開けるのもこの頃。現在の東京を形作ったと言ってもいいかもしれない。「もはや戦後ではない!」と見栄を切ったところで、この時期の東京はまだまだ貧乏。国を挙げての一代プロジェクトで、日本は開催にこぎつけた。

 今は、新興国の予算で五輪を催すことは無理だ。いくつもの国が、その費用を出せないで、エントリー後に辞退している。そのくらい高い。このため「エコ五輪」なる言葉が生まれた。要するに、今あるモノを上手く使って、安く五輪を行おうということだ。最も成功したのは、2012年のロンドン五輪と言われるが、これはロンドンのウェスト地区の再開発と合わせたため、そのように思えるわけで、実際は、いろいろ新築しているのが現状だ。

 世界の国が集結するわけなので、その建物も巨大である。私事だが、広島カープのホーム球場であるズームズームスタジアムの手頃感が非常に好きである。一地方都市にぴったりのサイズだからだ。ここで大体3万人位。オリンピック、特にメインスタジアムはこんなものではダメだ。8万〜10万人規模と言われる。メインスタジアムとして予定されている国立競技場は、丁度建て替えの時期なので、ロンドンの再開発と似た感じとはいえ、ゴタゴタで頂けないところもあるが……。

 問題は、その他の競技会場だ。日本は「箱物」行政と言われる割りに、大きな体育館は少ない。では、大きな箱物はないのかと言われると、ある。それが展示会会場だ。首都圏には2大展示会会場がある。千葉の幕張メッセと東京ビッグサイトだ。幕張メッセはフェンシング会場他に使われ、東京ビッグサイトはメディアセンターとして使われる。

 メディアセンターの中でも、放送スタジオまで用意しなければならないIBC(国際放送センター)は、放送設備を入れ込んだりスタジオ化させるため、ある期間首都圏で大きな展示会ができなくなるわけだ。使えない期間が長い。このため、ビッグサイトでも床面積の多い東棟がそれにあてられる。

 参加企業に取っても大変だ。広宣にお金を掛けることができないベンチャー企業に取っては、展示会は顧客獲得のためのハレ舞台と言っても過言ではない。ここで顧客を得ることが出来なければ、食べていけないのだ。展示を支える企業もそうだ。7カ月(半年以上)も仕事がない(展示会が開催されない)となると、死活問題になりかねない。

 当初、この期間、開催できなくなる展示会に関しては、東京都は「ビックサイトから1.5kmの所にある東京テレポート前の敷地に仮展示会場を作るので、規模を小さくして開催してほしい」という旨を発言。しかし、その後、「この仮設会場も、オリンピック時はバスターミナルにするため、2020年3月以降使えなくなる」ことが判明。2020年4月〜11月、東京都のお台場で大規模な展示会ができなくなることがわかってしまった。

 2015年11月、東京都から『「東京都の持ち物であるビッグサイトを改造、2019年4月〜2020年11月までの20カ月、一部ないし全部をオリンピックのメディアセンター(総合報道センター)として使うため、展示会場としては使えない」と宣告された主催者側は。これを「オリンピック 展示会場問題」と命名し対抗活動を開始した。


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