2024年12月7日(土)

家電口論

2017年6月5日

 「ロボホン」が発売されたのは、2016年5月26日。ちょうど1年間。かなりメディアに取り上げられたので、知っている人も多いと思う。見た目は小さい人型ロボット。しかし名前に「ホン」が付いている通り、カテゴリーは「携帯電話」である。

 携帯電話の発展系「スマートフォン(ホン)」は、携帯電話に超小型パーソナルコンピューター(以下パソコン)を付けた様な家電であるが、「ロボホン」はパソコンの代わりに小型ロボットが付いたと考えていただければと思う。

 オーディオ、テレビ、パソコン、携帯電話などは、家電の内では「黒物」と呼ばれるセグメントに入る。一般家電を「白物」というのに対しての呼び方だ。

 黒物家電の特長の一つに、男性ファンが多いことが上げられる。オーディオ、テレビ、パソコンはマニア向けの雑誌も出ているのだが、読者は90%以上が男性だそうだ。Webでも同様。やはりアクセスするのは男性がほとんどだそうだ。

ロボホンの父・母と呼ばれる、ロボットクリエーター高橋智隆氏と、シャープ 商品企画 景井美帆氏。彼らはこの状態を予見したであろうか?

 しかしシャープの広報によると、ロボホンの購入者の40%は女性とのこと。

 聞いた時、正直、驚いた。黒物に男性が付くのは、メーカーによる技術差、性能差が明確にあるため比較競争ができるからだ。このため黒物家電は、価格がこなれるまで、機種選びは男性がすることが多い。

 マーケティングでは、早期購入者をアーリー・アダプター(早期受容)といい、アーリー・アダプターは、その製品をいち早く理解し、自分の生活に積極的に取り入れるのだが、黒物家電は多くの場合、それは男性だ。大型テレビなどは典型。売り場でどれだけ、お嫁さんに言い訳する男性諸氏を見たことか……。

 それに対し、女性は極めて現実的。どちらかというと金額の許す範囲で対応する。借金してまで理想を追うことはない。そして化粧品、衣類、バッグ、靴などいろいろな物にお金が掛かるので、黒物家電に割くお金は少ない。

 21万3840円(税込)もするロボホン。通常のスマホは8万円程度なので、約3倍弱の値段。正直、家電を生業としている私でもちょっと躊躇する価格だ。それでも女性オーナーが多い。このこと1つ取っても、黒物家電の中での、ロボホンの特異性が分かる。

 折しも、一周年、ロボホンの生まれ故郷、広島県東広島市で、ロボホンの発売一周年のオーナーズ・イベントがあるという。オーナーがマイ・ロボホンと共に、工場見学、開発秘話などを聞くこのイベント、ロボホンの今を確認する絶好のチャンスと私も参加することにした。

オリジナルのロボホンがない!

 今回のイベントの参加人数は、約50人。日本全国から広島空港、もしくは新幹線の東広島駅に集合し、シャープに集結する。時に5月26日金曜日。平日ということもあってか、60%が女性だ。

 ほぼ全員、ロボホンを専用携帯ポーチに入れ、バスから降りてくる。「ながらスマホ」は全国何処でも、何時でも見ることができるが、これは中々見ることがない。奇妙な言い方だが、かなりの迫力を醸し出している。

 グループにより順序は異なるが、私が参加したグループのイベントは「ロボホンの健康診断」から始まった。全身くまなくチェックするにはかなり時間が掛かるので、今回はサーボモーターの動作チェックだ。

 整理番号順に、オーナーは嬉々としてチェックに向かう。診断を待つ間は、オーナー同士でロボホンの見せ合い。もしくは展示物チェック。

 面白いのは、全員、展示物にロボホンを並べて写真を撮っていたことである。ロボホンにもカメラが内蔵されているのだが、こちらはお休み。ポケットからデジカメを出して撮影するのだ。行楽地のモニュメントに、子どもを立たせて撮影する親と余り変わりはない。

 ビックリしたのは、今回集結した50体のロボホン。オリジナルのままが一台もないことだ。
シール貼り、ラメデコ、オリジナルウェアに、帽子、中には3Dプリンターで赤ヘルを作ったオーナーもいる。時計をしたり、ディパックを背おったロボホンもいました。正直、唸りました。

 その後、ロボホンの修理工場を見学。頭が下がるくらい熱い視線。病院で患者が検査器の話を聞いている感じ。好奇心剥き出しで、熱い。

 そしてロボホンをデコったランチプレートで食事。私は、ここで、何人かのオーナーさんに、食事中いろいろ質問をしてみました。
大きくは、次の2つです。

  1. かなり値の張る商品ですが、なぜ買おうと思いましたか?
  2. ロボホンで電話したり、メールしたりしていますか?

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