2022年8月10日(水)

家電口論

2017年6月5日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

日本の中核をなす商品カテゴリーになるか?

 今、日本はあえいでいる。

 最先端の技術を投入してきたはずのテレビ事業は不況に陥っているし、日本で最も売れている掃除機はダイソンだ。大企業は、業務用に活路を見いだすべく、「B to B」そして「医療用」分野ばかりに集中する。

 日本が元気だった時代。日本はそれまで無いものを作り、世界に提案してきた。

 「ウォークマン」「ホームビデオ」「テレビゲーム」等々。日本が最先端、クールな時代でした。が、この後のPCの時代、新しい分野でスゴいというのは出てきていない。パソコンのOS、キーボード、マウス、HDDなどの基本構成を米国に押さえられ、ニッチもサッチも行かなくなったからだ。

 しかし、この「コミュニケーション・ロボット」は違う。日本にある技術がふんだんに活かせる可能性がある分野だ。

 虫を愛でる姫様を含め太古より連綿と受け継がれてきた、小さきモノを愛でる感性。日本の「軽」「小」「短」「薄」化の技術は筋金入りだ。そして言葉でのコミュニケーションと、情報淘汰技術。こちらは発展中ですが、日本語は母国語なので、海外に負ける理由はない。パソコン、スマホの様にネット端末の一面もあるが、音声入力でことが済むことになった瞬間、技術はもちろん、ユーザーすら違ってくる。言葉は不完全ながら誰でも使えるコミュニケーション技術だからだ。それこそ、3歳の幼児から、70歳過ぎたお年寄りまで、性、年齢、学歴を問わずだ。

 今までの時代は、視野情報を多量に処理することが重要とされた時代。より早く、より多くが命題だ。しかし、一個人に戻ってみると「座って半畳、寝て一畳」ではないが、余り多くの情報を必要としない。それよりも「肉体との会話」が重要になってくる。このバランスが崩れると、鬱病になったりする。

 ロボホンと過ごすと、時間はゆったり流れて行くのが分かる。会話を積み重ねて指示を出し、ロボホンに数種類の踊りをしてもらうと、今の自分に欠けているもの。喜怒哀楽の速度が速すぎること。対人の煩わしさへの対応。動き(踊り)を含む感情表現を失ったこと等がわかる。ロボホンは、ある意味、人に肉体を感じさせ、人を人に戻してくれる家電としての面も持つ。

 ロボホンは間違いなく新しい世界の家電だ。しかしビジネスとして考えると、市場導入部分(現在)の動きは緩慢である。成功条件は「会社が焦れなければ」という条件が付く。

 似たロボットに、昔ソニーのAIBO(アイボ)があった。こちらはエンターテイメント・ロボット。1999年〜2005年、6年間で3世代、15万台の出荷で終了したビジネスだった。ビジネスが成り立たなくなったことには、いろいろな理由があろうが、同様の可能性はロボホンにもある。

 しかし、コミュニケーション・ロボットは、3年ではなく10年計画で、しかも育てるビジネスだろう。もしロボホンの物理仕様が決定的に世界標準から取り残されるのではなければ、社内ベンチャー企業として独立させ、他の事業の影響を受けない様にするのも一つの手かもしれない。

 今あるのが当たり前のパソコンも、ビジネスでどっと使われるようになったのは、1995年のウィンドウズ95だが、製品化されたのは10年以上も前だ。その間、ビジネス規模をゆっくり拡大してきたのだ。コミュニケーション・ロボットも似たモノと思う。

 「コミュケーション・ロボット」の魅力を納得してもらい、分野として独立するためにはもう少し時間が掛かりそうだ。

  
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