2024年7月16日(火)

池内恵「中東の眼 世界の眼」

2010年8月24日

かすかな希望的観測も

アメリカは根強い相互不信に支配されたイスラエル・パレスチナを再び対話のテーブルに着かせることができるか。写真右はアッバス大統領。

 アッバース大統領は、米国が「1年間」と交渉の期限を区切った点に望みをつなげる。オバマ大統領が、当事者の合意を待たずに米国独自の和平案を提示して両者に同意を求めるべきだとする「強制裁可案」を提唱する議論も米国内に出てきており、ネタニヤフ政権が意味のある譲歩をせずに1年間が過ぎれば、アッバース側もパレスチナ国家の一方的な独立に向けてのプランを提示して米政権の支持を求めることで打開を図る可能性もある。

 短期的には、9月26日前後にイスラエル内で大イスラエル主義者や右派強硬派が連立の内外から、入植地拡大計画や建築申請を誇示して政権を揺さぶる可能性があり、ネタニヤフ政権の対応如何によっては、紛争に再び火が着き、直接交渉を短期で終結させてしまいかねない。

 水面下ではオバマ政権は入植地拡大の凍結延長を強く要求しているものと見られるが、ネタニヤフ首相は表向きは延長はしないという姿勢で変わっていない。これが内政状況と連立内の強硬派を配慮してのものなのか、そもそも首相本人も入植地拡大を続行するつもりなのかは、図りがたい。

 即座に頓挫することすら予想され、大きな成果が期待されていない直接対話だが、ここまで肩入れするからには、ネタニヤフ首相からこれまでにない譲歩を引き出せるという感触を、7月6日の会談でオバマ大統領が持ったのではないか、という希望的観測もある。9月の国連総会から11月の中間選挙にかけての期間、パレスチナ問題が米内政と国際政治にいつ緊張をもたらすとも限らない。
 
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