2022年9月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年8月29日

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 中国の一帯一路構想の中で着実に進展しているのが中国パキスタン経済回廊です。中国は、これで東の戦略的閉塞状況(朝鮮半島、東シナ海、南シナ海)を西に向かって打破し、パキスタンの安定とそれを通じる新疆の安定を狙っているとされます。しかもシルクロード沿いにこれほどの人口(1.8億人)を持つ国は他にはありません。中国パキスタン経済回廊は、成功すれば確実に地域と中国の発展に意味のある貢献をします。一帯一路構想も一息つけるというものです。

 確かに中国資本の投下によるインフラの整備やエネルギー開発は、パキスタン経済の発展を支え、それがパキスタンの安定の強化に資するでしょう。短期的にはこの論評の言うとおりでしょう。しかし、不確実な要素は多いです。中国の参画による経済の刺激がどこまで経済成長を持続させるのでしょうか。経済成長がパキスタン内の過激分子をどこまで沈静化させるでしょうか。中国のプレゼンスの増大がパキスタンとの文化摩擦をどこまで激化させるのか等々、数え上げればきりがありません。

 時に、中国がこれほどまでに明確にパキスタンの囲い込みに入ったのを見て、インドと中国の関係はさらに緊張せざるを得ません。さらに、ブータンと中国の紛争地であるドクラム高原における中国側の道路建設を契機に、中印の軍事的緊張が高まっています。領土や主権問題では、強い姿勢をとるというのが習近平外交です。昨年夏以来、戦術は変えてきていますが、この基本方針はまだ修正されていません。ここも目が離せないと言うことです。


  
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