2024年12月2日(月)

安保激変

2017年8月29日

日本が早急に取り組むべき「3つの課題」

 今回のミサイル発射を受けて、日本としては早急に次の課題に取り組む必要がある。

 まず、北朝鮮は奇襲攻撃能力を高めており、それに備えておく必要がある。現在、日本政府は陸上配備型のイージス迎撃システム「イージス・アショア」か、地上迎撃システム「THAAD」の導入を検討しているが、その作業を早急に行う必要がある。導入を早めるため、予定外の支出に対応する予備費を活用するべきである。ただし、「イージス・アショア」は1基800億円、同じくTHAADは1基1000億円以上と言われているが、前者には迎撃ミサイルの値段が含まれておらず、後者には迎撃ミサイルの値段が含まれているため、公平な数字とはいえない。1基当たりのコストでなく、システム全体のコストを比較し、費用対効果を検討するべきだ。

 次に、国民保護へのさらなる取り組みである。今回、J-アラートによって多くの国民が北朝鮮のミサイルの脅威をより身近に感じたことだろう。自治体レベルでの避難訓練は始まっているが、まだ全国的な取り組みとはいえない。ミサイルは日本のどこに落ちるかわからないため、損害限定の観点から、国民全体が国民保護の取り組みに関心を持つようにさらに努力する必要がある。在留外国人の保護についても検討しなければならない。

 加えて、日米同盟の強固さをさらに示す必要がある。日米両政府は、首脳会談や外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)などで、米国の日本防衛へのコミットメントを何度も確認してきた。だが、それだけでは同盟の一体性を示すには不十分だ。北朝鮮が米国を攻撃した際には、日本も米国を支援することを表明するべきだ。実際に日本が米国を支援するには、平和安全法制に基づく制約が残されている。しかし、日米が相互防衛を強調することによって、北朝鮮による日米離間の企てを阻止し、日米同盟の抑止力をさらに強化することができるだろう。
 

  
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