2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月30日

 北欧諸国はいろいろな歴史的事情から、安全保障・同盟政策について戦後それぞれ異なった政策をとってきました。デンマーク、ノルウェーはNATOに加盟、スウェーデンは中立、フィンランドはいわゆるFinlandizationでソ連、ロシアに配慮する政策をとってきました。こういう形で一種の均衡が出来ていたのです。しかし、ソ連の崩壊、バルト3国の独立とNATO加盟により、この均衡に一種のショックが加えられました。フィンランドは、より独立した対ロシア政策をとるようになりました。しかし、これらの国の安保政策はあまり変化することはありませんでした。

 プーチンがNATOへの不信をあからさまに示し、その拡大を阻止することを重視し、ウクライナやジョージアで武力行使を行い、さらにバルト諸国にも圧力を加えるなか、スウェーデンとフィンランドは、安全保障面で心配し始めています。

 この解説記事が指摘するように、スウェーデンでは、伝統的な中立を維持すべきか、NATO加盟をすべきか、という問題で世論が大きく分かれてきています。

 プーチンがスウェーデンのNATO加盟を阻止したいと思っているのは確実ですが、そのためにスウェーデンに演習などで圧力を加え、脅すような言辞を使っています。これは逆効果でしょう。

 この問題がどうなるかはまだ分かりません。スウェーデンは中立国として戦争に巻き込まれることを避け、そこから大きな利益を得てきた歴史があり、中立政策を簡単には捨てないだろうと思われます。その一方、ロシアへの反発からNATO加盟を選択することもありうるようにも思われます。

 ロシアがスウェーデンのNATO加盟を止めさせるためには。スウェーデンのロシアへの不安を解消するのが最も効果的なはずですが、プーチンはそういう発想にはなかなか至らないように思われます。

  
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