一粒で二度美味しい。そう、同じ愛知県の名古屋の名物、ひつまぶしに通じる、味の変化が楽しめる一品なのである。
そのあたりの約束事以外は各店舗の工夫。
この企画、思惑通り、新聞、テレビが食いついた。加えてネットの時代でもある。あっという間に、名物として認知された。すでにカレーうどん目当ての旅人も目立つとか。
かく言う私自身、名物誕生進行形のお話への興味からなどと理屈は言いつつも、まんまとのせられたクチであることには間違いない。
何はともあれ、土地の友人に案内してもらい、食べ歩いた。
左から、勢川 本店、十勝庵、玉川うどん 豊橋広小路本店
駅にほど近い老舗、勢川本店。初めて食べるものなのに、懐かしいような、ほっとするような味わい。食べ比べた後になって思うと、定番的な感じか。
駅からはかなりの距離のファミリーレストラン的なお店、十勝庵。見た目の華やかさに、まず、感嘆。桜エビの赤みとカレーの色合い、そして、アクセントのあれこれ。楽しい。食べると、揚げたエビ、擂〔す〕ったものだけでなく拍子木〔ひょうしぎ〕に切ったヤマイモの食感など、さまざまな食感が合わさって楽しくも美味しい。
駅前アーケードの玉川うどん豊橋広小路本店。こちらもカレーがしっかりしていて、本格的な感じ。豚カツなどのトッピングもよろしいが、ふつうのものでも、チキンカツが隠れていたりして、その食感と味わいの深まりが好ましい。
食べた限りでは、うどんとしては十分に納得。カレーの完成度、スパイスの工夫などが今後の課題か。かつては「カレー大王」などとメディアに呼ばれたカレー好きの印象と希望。
腹ごなしのまち歩きをしたり、気分転換に市電に揺られたりしつつ、食べ歩く。これが楽しい。他の店はどのような工夫をしているのか。さらに食べ歩きたいような。
というわけで、見事に術中にはまったが、ともあれ、現在進行形。百花繚乱のまちおこしグルメの中で生き残り、定番となる戦いが続く。
◎東海道新幹線豊橋駅下車
■勢川 本店
豊橋駅から徒歩約8分
豊橋市松葉町3丁目88 ☎0532(54)0614
営業時間/11時~19時30分
定休日/月曜・第3火曜
■十勝庵
豊鉄市内線で東田駅下車、徒歩約15分
豊橋市南牛川1丁目6-1 ☎0532(63)0820
営業時間/11時~15時、17時~20時
定休日/月曜(祝日の場合は翌日)
■玉川うどん 豊橋広小路本店
豊橋駅から徒歩約5分
豊橋市広小路1丁目13 ☎0532(52)5415
営業時間/11時~21時30分
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