中国メディアは何を報じているか

2017年11月17日

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法律と実態のすり合わせに課題も

 ところで滴滴は、タクシーのマナーが悪く、しかも街で拾いにくいという欠点を補う存在として現れ、支持された。それまで無法地帯だった白タクをサービスに組み込み、手配可能な車両数を増やした。白タクの運転手の需要増は失業者への職の提供にもつながった。乗客とドライバーが相互に評価をし合い、配車しておきながら乗らないといった違反があると通報する制度も用意し、サービスの信用力を高めてきた。

 とはいえ、問題も抱えている。「処罰後、違法運営は減らずむしろ増加。処罰のグレードが上がり、滴滴15万元の罰金」と11月9日の南京日報(http://njrb.njdaily.cn/njrb/html/2017-11/09/node_6.htm)が報じている。南京市がタクシーのネット予約に関する規則に基づいて、違法な運用が大量に見られた滴滴に8月31日に5万元の罰金を科したが、その後も改善が見られず、15万元に達する罰金を科されることになったという。

 「7月20日から11月6日までに交通部門は違法な運用車両を449両見つけ、そのうち413両は滴滴出行のプラットフォームを利用していた。取り締まりのデータは、最初の処罰の後、滴滴がプラットフォームの管理を強めるどころか、違法な運営行為がかえって増える趨勢にあったことを示している」

 南京市では、滴滴のような配車のプラットフォームが営業許可証を取得し、車両がネット予約車両の輸送証明書を取り、ドライバーがネット予約車のドライバー証を取得して初めて、合法的な運用が認められるといい、この手続きを踏んでいなかったケースが摘発されたようだ。

巨大な資本をバックに競争再燃か

 こうした規制の導入は南京市以外の都市でも進んでおり、市外のナンバーや、現地の戸籍を持たないドライバーは運用ができなくなるなどし、車両数の減少につながっている面があるという。加えて、サービスの登場時には他社との競争のために利用者には各種の割引が提供されていたが、競争が落ち着くにつれ、そうしたサービスは減っていて、その分利用者の負担は増えている。

 こうした中、ライドシェアの分野に他分野からの参入も相次いでいる。美団点評という中国EC事業大手でレストランの評価情報アプリ「大衆点評」を運営する企業が、走行時間に応じて料金が決まる配車事業に進出を始めた。美団は中国以外ではほぼ無名の企業ながら、企業価値が300億ドル(約3兆3900億円)に達し、世界の新興企業で4位になっている。ロゴ入りの車両の一部地域での運行が始まっている。

 自転車シェアリング大手のモバイク(Mobike)は貴州新特電動汽車とライドシェアの分野で連携し、自動車と電動二輪車のシェアの仕組みをつくり、スマート化した電気自動車のシェアプラットフォームを作ることで合意した。モバイクは他社と連携し、100億元(約1700億円)のシェアカー産業への投資ファンドを設立。モバイクも美団も強力な資本を背景にしており、滴滴にとっては手ごわい敵が現れたといえそうだ。

 一方の滴滴は11月2日、CEOの程維氏が新エネルギー自動車のサービス会社を設立し、充電ステーション建設や電池の再利用などの新エネルギー自動車のためのサービス産業を構築すると発表した。電気自動車の最大の購入国である中国で、ライドシェアと連動したサービスを提供し、さらなる事業拡大につなげるとみられる。巨大な資本力をバックに、再び競争の過熱しそうな中国ライドシェア業界。その動向から目が離せない。
 

  
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