ライドシェア、民泊といったシェア経済の成長が著しい中国。中でも参入障壁が低く、急拡大を続けてきたのが自転車のシェアサービスだ。Mobike(モバイク)とofo(オッフォ)という2強のほかに多数の事業者が存在する。モバイクが札幌市で事業を開始し、オッフォも9月には日本国内で事業を始めることがニュースにもなった。
シェア自転車の「墓場」が出現
シェア自転車は、多数の事業者がしのぎを削るホットスポットで、「もはやこれ以上、はやりようがないほどの隆盛ぶり」を示してきた。ただ、マナー違反が社会問題化し、業者の倒産も相次ぐなど、負の側面が露わになってきている。市民生活と密着したものだけに、混戦模様のシェア自転車市場の動向に関する報道は多い。
このところ盛んに報じられているのは、「シェア自転車の墓場」の存在だ。新華網は8月23日「上海にシェア自転車の『墓場』現る。3万台の自転車が山のように折り重なっている」と報じた。これは上海の静安区にある違法駐車の自転車の安置場所にシェア自転車があふれかえっているというもの。
「この場所には今年1月から続々と3万台を超える違法駐車の自転車が積み上げられ、毎日少なくとも百以上の違法駐車のシェア自転車が静安区内の道路からここに運ばれてくる」
上海市が企業側に直ちに違法駐車の整理を行うよう告示を出したことを伝え、こうした放置自転車が街中の若い活力を代表するシェア自転車とは際立った対比をなしていると指摘する。
人民日報の運営する国際金融報も8月22日、「上海の去年の『地王』はシェア自転車の『墓場』となった」と伝えた。昨年破格の値段で落札された土地が、空き地であるがために違法駐輪車両の墓場になってしまったという。
「上海交通管理部は、シェア自転車の企業が先を争って市場を占拠するべく、過剰な投入を行い、オフラインの運営管理をおろそかにし、すでに都市の交通秩序と交通の形に重大な影響を与えていると認識している」とする。
カラフルな自転車の山からは、時折、ロックシステムが発する電子音が聞こえてくるといい、過当競争の結果、多くのシェア自転車が生殺し状態になっているようすが伝わってくる。