2024年11月22日(金)

中国メディアは何を報じているか

2017年8月25日

過当競争で倒産も

 ところで、シェア自転車の仕組みを簡単に説明すると、スマートフォンなどで利用者登録をし、一定の保証料を払い、利用したいときに車体についているQRコードを読み込めば、ロックが解除される。シェア自転車の場所を検索し、予約することもできる。全地球測位システム(GPS)がついており、目的地に着いたらそのまま乗り捨てればいいという仕組みだ。

 公共交通手段がカバーできないラストワンマイル問題を安い価格で解決できる手段とあって、市民の足として一気に浸透した。ところが、市場でのシェアを高めたい事業者が大量投入した結果、交通の欠点を補うはずのシェア自転車が、逆に交通の妨げになるという現象が起きている。市民のマナーの問題もあるが、十分な停車場所を確保しないまま車両を投入した企業側の責任は大きい。

 爆発的な勢いで広がり、今では1600万台もが投入されているとされるシェア自転車だが、問題点が露わになるにつれ、運営が立ち行かなくなる企業も出てきた。今年6月には全国展開していた悟空単車が社の方針変更を理由にシェア自転車事業から撤退。同月、複数の都市でサービスを展開していた3Vbikeが、車両の大量盗難を理由に運営を停止した。8月には南京市の町町単車が倒産し、会社がもぬけの殻状態だと暴露された。町町単車に至っては、ユーザーが払った保証金の返還が済んでおらず、シェア自転車で初の「夜逃げ」だと騒がれた。

 3Vbikeはその後、車両の防犯機能を強化し、8月19日にシェア自転車市場への復活を宣言した。とはいえ、市場がかつてのような成長が望めない曲がり角に来ているのは、どの媒体も意見の一致するところだ。

求められる量から質への転換

 「シェア自転車の試合の前半の群雄割拠は終わった。第二、第三グループは自発的に一、二線都市から『逃散』する」と伝えたのは8月23日の毎日経済新聞。一線都市というのは上海、北京、広州、深センなど主要都市のこと。二線都市は、そこから一段落ちる大都市のことで、青島やアモイなど。

 圧倒的なシェアを誇る2強に戦いを挑んでも意味がないと判断した他社が、続々と主戦場を地方都市に移していると紹介。「広州や南京など多くの場所でシェア自転車の新規投入が停止される中、モバイクの関係者は次のステージでシェア自転車は新たなレースのトラックに入り、精緻化、知能化した運営が重要で、業界の競争の中核的なパワーにもなると認識している」とする。

 国際金融報は8月16日、「シェア自転車『黄色とオレンジの決戦』再び。(オッフォを)メインテーマにした郵便局とミッキーマウスのカップル自転車、どちらがクールか」と報じた。黄色はオッフォ、オレンジはモバイクのテーマカラーだ。

 オッフォと中国郵政は業態を跨いだ連携で、オッフォをメインテーマにした郵便局を上海市に設置した。壁はオッフォのカラーの黄色で、自転車の車両も展示。一方のモバイクはディズニーとこちらも業態を超えた提携をし、ディズニーのミッキーマウスとミニーマウスの限定デザインの車両を上海市に投入した。

 「モバイクは世界の五カ国の150以上の都市で600万台以上のシェア自転車を投入し、1億以上のユーザーを擁する。一方のオッフォは全世界で800万台以上のシェア自転車を投入し、日に平均2500万回の発注があり、8カ国の170以上の都市の億を超えるユーザーに30億回以上のサービスを提供した」と記事は伝える。

 2強が行政や大企業を巻き込みつつ角逐し、海外にも市場を求める動きは当面続きそうだ。2強の大合併の可能性を指摘する声もある。後半戦に入ったシェア自転車市場はどこに落ち着くのか。目が離せない。

  
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