2024年11月24日(日)

したたか者の流儀

2017年12月2日

カタルニアの問題

 さて、今回のカタルニア問題。ゴム弾で目が潰れた人も出ているが、バスクの闘争と比較すればいまだに序の口であろう。ベルギーで逮捕されたリーダーの名前も、現地の発音では“プチだもん”とやや微笑ましい。どう考えても大問題に登場する人物ではない気がする。

 カタルニアは豊かなので、貧しいスペイン全体に貢献するのは損だという考えもある。バスク地方と同様だ。我が国に古来からある相身互いという言葉は存在しないようだ。いや、存在したがグローバル化で消え去ってしまったのだろう。

 現在、バルセロナに本社を置いている優良企業が逐次マドリッドに本社を移動しているそうだ。したがって、税収入は今後激減することになり、カタルニアの自慢であった豊かさは消え失せる可能性も出てくる。そこで、穏便に手打ちをするのか、バスクのように血で血を洗う闘争にすすむのか考えれば、今後の行く末は簡単に想像できるだろう。

 本来、国境をなくし、自由に行き来し、働きたいところで働き暮らしたいところで暮らすのがEUの基本理念の一つであったはずだ。そこをスペインから独立するとか、しないとかはアナクロニズムの議論であろう。そんな議論に乗ってしまったベルギー当局も悲しいかぎりだ。

 とはいえ、世知辛い世の中となり豊かな東京は貧しい日本から独立すると言い出したらどうするだろうか。井上ひさしの「吉里吉里人」を思いだしてしまった。バスク独立を夢見て亡くなった人にたいして不謹慎だが。

  

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