2024年7月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年1月9日

 エルドアンがロシアからS-400防空ミサイルシステムを買うことに決定した時には、NATOの関係者は一種の衝撃を受けました。しかし、この購入の話はこの記事にあるように、NATOの反対、米国の制裁、ロシアとの詰めの協議での困難などに直面しています。

 どうなるかはまだ分かりませんが、トルコ・NATO関係の将来を示す試金石となる案件です。トルコの西側離れをさらに進めるか、あるいはそうならないかです。その意味で、このS-400防空システムの取引は駄目になる方が望ましいでしょう。

 S-400防空ミサイルシステムはなかなか優れたもののようです。米国のPAC3に匹敵するものですが、射程はより長いし、ミサイルの運動性能も上回るといいます。ロシアは国内に配備するとともに、シリアに持ち込んでいます。中国もこれを購入しています。インドも購入に関心を示しています。イランはすでに購入したと思われます。サウジアラビアも購入することでロシアと合意しています。北朝鮮は貧乏ですからS-400を買う余裕はないと思われますが、北朝鮮が買えば、朝鮮半島における米韓の空軍力使用に障害が出てくるでしょう。

 対空ミサイルはレーダーからの情報に基づき使われるものです。S-400はNATOのレーダーと連結できないから問題であるということですが、S-400は自前のレーダーを持っているのではないでしょうか。しかし、400km離れた複数目標を同時に攻撃できてもトルコ全土の防衛は無理という記事の指摘は、その通りでしょう。

 クーデタ未遂の時に、トルコ空軍の航空機の一部がクーデタ側に立ち、アンカラで空爆を実施したことに鑑み、大統領官邸などを防衛するためにアンカラにS-400を配備したがっているとの指摘がありますが、確かに、エルドアンならそういう発想をしそうにも思われます。

  
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