共産中国は一貫して平和国家?
南シナ海での中国当局の侵略姿勢に疑問を呈したところ、リーエンは断固反論。曰く「共産中国は平和国家であり他国を侵略したことはない。中国の主張する南シナ海における領海は歴史的に中国に帰属しており、第三国の介入は許されない。チベットは歴史上中国領土。台湾も中国固有の領土であり独立はあり得ない。ベトナムがラオスに侵攻したから対抗上中国はベトナムと戦ったのである」
中国外交部報道官顔負けの論法である。
天安門事件での共産党の対応は正しい
リーエンに共産中国の政治について意見を聞いたところ、「鄧小平の改革開放政策以降の経済成長により民衆の生活水準は飛躍的に向上。政治の安定と経済成長が民衆にとって最重要である。性急な民主化は中国の現状に適さない。天安門事件への共産党の政治的判断は正しかった。未熟な若者たちに政治を任せて経済を混乱させるのは愚かな選択」と政治的自由よりも経済優先の立場だ。
「中国にも表現の自由、言論の自由はある。外部からは分かり難いかもしれないが、ネットなどの政府批判に関して当局は注意深く対応している。ネット言論から民衆の意見を吸い上げて慎重に対策を検討している」という。
中国の人権は中国人が決める
人権問題についてのリーエンのスタンスも揺るぎない、曰く「中国の死刑制度を欧米諸国は批判しているが、中国で死刑を廃止すれば重大犯罪が激増することは自明。社会秩序維持のため死刑制度は必須」。他方で「米国は死刑反対を唱えるが、米国の白人警察官が無実の黒人を射殺していることを中国人も知っている」と手厳しい。
中国人は政治が大好き?
どうしてリーエンは政治問題について自分の意見を滔滔と展開できるのか不思議に思った。日本の同年代と話しても政治問題を理路整然と語れる人間は稀有であるからだ。
「中国では友人どうしでいつも政治問題を討論しています。だから自分の考え方を常に整理しています」とリーエンは説明した。
リーエンの考え方は“普通の中国人”の平均的な考え方であるという。但し“普通の中国人”というのは少々定義する必要がある。少なくとも新聞を読んだりTVのニュースを見るような人々という階層である。毎日の生活に追われて食うや食わずの人々は、どこの国でも同様であるが、客観的に物事を考える余裕がないからである。