2024年12月23日(月)

古希バックパッカー海外放浪記

2017年12月31日

(2016.6.18.~9.14 89日間 総費用18万2000円〈航空券含む〉)

チアキ35歳と年下イケメン恋人

 7月23日。ヴァシュシトのゲストハウスでGさんとビールを飲みながら夕飯をしていた。Gさんは46歳、TV業界では知られた敏腕プロデューサーで離婚を機に仕事を休止して2~3年の予定で世界一周旅行の途上。

 Gさんは最初の訪問地フィリピンで、英語学校に入り2カ月間英会話修行。片言の英語を駆使して、世界各国で出会った美女を口説く“世界一周嫁探しの旅”を敢行中であった。

レー近郊の村祭り

 食事が終わったころ、ちょっと目立つニッポン女子とイケメン系インド男子のカップルが食堂に入ってきた。他に客はおらず四人でおしゃべり。女性はチアキ35歳、男子はアテナ28歳。2人は6カ月前にアテナが住むバンガロールで知り合った。

 チアキはベテランのエステティシャン。指名客が付いておりそれなりに稼ぎはある様子。アテナは学校を出たものの定職がなく、現在失業中で趣味はロッククライミング。アテナにお金がないので、2人の旅行資金はチアキが全額負担。

村祭りのチベット仏教の儀式。多数の外人観光客がカメラを向ける。

「ワタシ絶対にカレに貢いでいませんよ」

 チアキはお洒落で男性を惹きつけるタイプ。半年前にアテナと知り合って資金を稼ぐために日本に一旦帰国。日本で昼間エステティシャンをしながら、夜はキャバクラでアルバイトして短期間で稼いで、インドに戻りアテナと旅行しているという経緯。キャバクラでは年を誤魔化したそうだが結構人気があったらしい。

チベット仏教寺院の曼陀羅

 彼女がアテナに夢中であることが見て取れる。Gさんが茶化して「チアキちゃん、彼氏に惚れ込んでいるようだけど、あんまり貢いじゃ駄目だよ」と揶揄すると「私はゼッタイにカレにお金を貢ぐなんてやっていませんよ」とむきになって否定。でも宿代も食事代も全部チアキが財布から払っていた。

チベット仏教絵画修行

北インドでも外人観光客向けにピザを提供しているレストランがある

 8月4日。レーのゲストハウスでチベット仏教画を描いているセキ君37歳と遭遇。彼の狭い部屋のなかはアトリエと化していた。チベット仏教絵画は緻密な集積回路の設計図のようだ。曲線と直線が一定の規則で交差することが詳細に定められており、比率や角度が規定から逸脱すると全体のバランスが崩れてしまい、見慣れている信者は一目で見分けてしまうという。

 セキ君は大学で日本史を専攻。卒業後は一般の事務職に従事。その間にアフリカ文化研究者の女性と結婚。30歳で退職してチベットに一年間留学。チベット語とチベット仏教を学んだ。帰国後チベット仏教絵画の画家に師事。他方でチベットから帰国して早々に奥さんは三下り半を突き付けて出て行った。

邦人バックパッカーの青年たちとチベット餃子とチョウメン(焼きそば)

 爾来日本でアルバイトして資金を貯めては、インドを訪問してチベット仏教絵画修行。ダライラマの亡命政府のあるダラムサーラには、チベット仏教絵画の伝統が継承されている。セキ君は真夏の期間は涼しいレーで絵を描いて、気温が下がる秋から冬にかけてダラムサーラのチベット仏教絵画工房で修行。

チアキとアテナのカップルに再会

下ラダック地方のラマユルのチベット仏教の仏塔群

 8月7日。セキ君とレーのゲストハウスでおしゃべりしていたら偶然チアキとアテナのカップルがチェックインしてきて再会。2人は1カ月くらいレーに滞在するので長期滞在が可能なキッチン付きの部屋が見つかれば移る予定とのこと。

 日本でエステとキャバクラを掛け持ちして貯めた資金をできるだけ温存するために、インドで旅行しながらお金を稼ぎたいという。チアキは貴石を使ったアクセサリーの作り方を教わったのでアクセサリーを路上販売して稼ぐ計画だった。


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