2024年4月24日(水)

赤坂英一の野球丸

2018年2月7日

巨人の注目株は誰か?

 そのソフトバンクのキャンプ地から車で約30分、サンマリンスタジアム宮崎で練習している巨人にも、注目したい育成選手がいる。今年初めて一軍のキャンプに抜擢された8年目の投手・成瀬功亮、2年目の外野手・松原聖弥だ。このふたりは昨年12月、台湾ウインターリーグに参加したNPB東軍のメンバーに選出されて活躍(2017年12月13日付記事『白熱の台湾ウインターリーグ』を参照)。このとき、NPB東軍の監督を務めた川相昌弘二軍監督がキャンプ直前のスタッフミーティングで高橋監督ら一軍首脳陣に強力に推薦、キャンプの一軍スタートが決まったものだ。

 とくに成瀬にとっては千載一遇のチャンスと言っていい。10年秋、育成ドラフト6位で北海道の旭川実業高校から入団したが、13年に右肩関節のクリーニング手術を受けて二軍の試合に一度も登板できず。育成選手の契約期限は3年までと決まっているため、ここで一度解雇されてしまった。巨人が再契約してくれたものの、その後もケガの影響で1シーズンフルに働いたことがほとんどない。

 16年は右手指の血行障害の手術も受けており、文字通り「傷だらけ」の育成選手人生を送ってきた。そういう選手が、私も取材に行った台湾で9試合に登板し、12イニング13奪三振、防御率0.00という数字を残したのである。こういう育成選手も滅多にいない。

 川相二軍監督も、現役時代はレギュラーになるまで6年かかった筋金入りの苦労人だ。「成瀬にも松原にも、何とかこのチャンスをものにしてほしい」という言葉にはファームで長年辛酸を嘗めた指導者ならではの実感がこもっている。日本ハムの清宮幸太郎、広島の中村奨成、ロッテの安田尚憲ら昨年の甲子園を沸かせた高卒ルーキーのほかにも、将来が楽しみな〝無名の原石〟は少なくない。

  
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