2024年11月23日(土)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2011年2月17日

2人ともミシガン州選出で、キャンプ議員のスピーチを聞くと、自動車産業や鉄鋼産業の従事者、無数の零細メーカーなど、中国の為替政策によって最も大きな影響を受ける人々を代弁する熱心な訴えが、米労働総同盟産業別組合会議(AFL-CIO)とは言わないまでも、民主党全国委員会本部の発言であっても何ら不思議はないようなくだりが多々ある。

 次に、民主、共和両党が強く同意する問題があるとすれば、それは「執行」だろう。もっとも、そのタイミングや、どの産業を「支援」(「保護」ではなく「支援」)すべきか、そして「執行」が「保護主義」と化す、目に見えない一線を越えるまで、どれほどの通商事案を提起できるかを巡っては、往々にして重大な意見の相違がある。

 ただし、ここでも間違えてはならない。いつどんな「中国法案」が正当化されるのかを判断するうえで、大半の議員にとって決定的な要素となるのは、どんな通商問題以上に、「執行」に対する議会の認識だと我々は考えている。

 言うまでもなく、歴代の米政権はずっと昔にこの教訓を学んでいる。時のホワイトハウスが、大きな事案が両国関係に与える影響をどう評価したかも含め、正式承認された通商事案の数とタイミングによって各政権の考え方を図で示すことができるほどだ。

 1つ、明白な例を挙げよう。何らかの理由があって自国を訪問してきた中国の首脳を怒らせたいと思うのでない限り、訪問の寸前、あるいは帰国した直後には大きな事案を発表しないものだ。首脳には「礼儀にかなった一定の間隔」を与えるのが常であり、もし問題の事案が両国関係に影響を与える可能性があれば、必ず、確実に当の首脳に「注意喚起」し、その決断を下した理由を説明する。

 さらに、米議会が中国の貿易問題に関して可決できる法案があるとすれば、それは全般的な両国関係によって左右される可能性があり、ことによれば決定的に影響されると我々は考えている。

 大事なのは、以下のような問題に対して米議会が抱く認識だ。

中国政府は北朝鮮(今年、最も難しい外交問題となる可能性が高い)とイラン(北朝鮮よりわずかに難度が低いだけの問題)について協力的か。中国はアフリカで、責任ある融資に向けた国際通貨基金(IMF)および世界銀行の取り組み全体をめちゃくちゃにする代わりに、国際支援の態度を改めているか。ソマリアの海賊との戦いで前向きな貢献を継続しているか――。

 あるいは中国が、我々が最近、尖閣諸島や南シナ海での出来事で目にしたように、海上境界線や資源紛争を巡って日本やその他アジア近隣諸国をあからさまに脅すのをやめたかどうかも重要になるだろう。
 

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