モンゴル人の崇拝を受けるソ連邦国家英雄ジューコフ元帥
9月9日。モンゴルの首都ウランバートル市内中心部から数キロメートルの公園にある“ジューコフ博物館”を訪ねた。公園の真ん中にジューコフ元帥の銅像が立っている。公園の脇に博物館がある。
ジューコフ元帥と言えば第二次世界大戦下の独ソ戦の天王山であるスターリングラード(現在のボルゴグラード)攻防戦を指揮して劣勢を挽回。さらに赤軍を率いてドイツ軍を駆逐し、ベルリン陥落まで指揮した国家的英雄である。
ちなみにロシアのプーチン大統領がモンゴルを公式訪問したときにジューコフ博物館を表敬訪問している。
第二次世界大戦に先立つ1939年夏にノモンハン事件が勃発。日本の関東軍がモンゴル人民共和国に侵入。紛争が発生すると同盟関係にあったソ連赤軍がモンゴルを支援して参戦。最終的にソ連戦車部隊が関東軍を撃破して関東軍は敗退。
以来日本はモンゴル・ソ連への侵攻を断念して、東南アジアに進出する南進策に転換することになったのは教科書記載どおり。
このノモンハンの戦いを指揮したのが、当時40代半ばのジューコフであった。モンゴルにとり救国の英雄である。スターリンの粛清と圧政を詳細に記述した“スターリン赤い皇帝と廷臣たち”によると1930年代に優秀な将軍を次々と粛清していたので赤軍には経験のある将官が極端に不足していたという。それゆえジューコフは若くして枢要ポジションに就いたようである。