2024年12月4日(水)

中東を読み解く

2018年7月24日

付き合い方見直せ

 麻生財務相は22日、G20が開催されたブエノスアイレスでムニューシン米財務長官と会談し、イランに対する経済制裁の「2次制裁」の対象から日本企業を適用除外するよう要請した。
 
 しかし、トランプ政権は鉄鋼やアルミニウムの輸入品への高関税に踏み切った際も、日本の求めを無視して日本をその対象に含めた。トランプ氏が先の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で示した「同盟国を同盟国とも思わない」態度を見るまでもなく、日本に特別待遇を与える可能性は小さいだろう。

 日本はかつて米国の圧力で大規模油田「アザデガン油田」から撤退し、開発権益を失った苦い過去がある。イランからの原油輸入は現在、全輸入量の5%程度でしかなく、10月までにはその輸入もゼロになる見通しだが、これによって死活的な打撃を被るというわけではない。

 しかし、イランは日本が長期的に独自の関係を築いてきた友好国であり、関係が冷却化するのは避けなければならない。対して、トランプ氏の米第一主義はあくまでも米国にとって短期的に「得か損」か、である。そこに考え抜かれた戦略はない。日本は今回を契機に、トランプ政権との付き合い方を根本から考え直す必要がある。
 

  
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