今期ドラマのトップクラスの作品
#5(8月24日)は、依頼者の天利聡史(朝比奈秀樹)が交通事故で意識不明の状態となる。死亡確認に出向いた祐太郎(菅田)は聡史の小学校時代の友人を装って、依頼者の婚約者を名乗る楠瀬百合子(橋本愛)と出会う。百合子は、聡史の入院先で母から見せられた彼のクレジットカードの引き落とし明細書をみてdele社をみつけて、祐太郎の素性を見破る。しかも、百合子も聡史と同じ小学校の出身で祐太郎を疑っていた。
百合子は、それを隠しながら祐太郎を誘って、聡史との思い出の場所を巡って歩くのだった。カフェやバッティングセンター、公園を。
百合子 「聡史が亡くなったら、この世界はどうなってしまうんだろう」
祐太郎 「何人も大切な人がいたはずなのに、なにも変わらない。世界は昨日と同じ顔をしている」
依頼者の聡史とは、夜の公園でよく会ったと百合子はいう。仕事の愚痴をお互いに話したりしながら。幼馴染と友人という境目を超えることは、なかったという。そんな聡史の気を引こうとして恋人を作ってもみたが、反応はなかった。
会社の先輩から真剣な付き合いを求められて、聡史の気持ちを最後に確認する機会にしようと彼に告げた。
百合子 「そしたら、ぎゅっと抱きしめてくれた。涙がでるほどうれしかった。でも耳元で『こんどはがんばれよ』って。遅いよ、馬鹿野郎」
祐太郎がdele社の人間であることを見破っていたことを、百合子は告げて、聡史の削除依頼をキャンセルする、という。自分の知らない彼の実態を知りたいというのである。祐太郎から連絡を受けた圭司(山田)は、本人の意思ではないので拒否する。
一方、祐太郎は聡史の親友である宮田翔(渡辺大知)と会って、百合子が実は婚約者ではないことを知る。
聡史の母からの知らせで、祐太郎と百合子、宮田が病院に駆けつける。聡史は意識を取り戻した。聡史の手が求めたのは、すがりつく百合子ではなく、宮田の手だった。百合子は泣きそうな表情を浮かべながら、すべてを悟る。
百合子 「遅いよ。馬鹿野郎」
祐太郎もまた、冷静な視線を注ぎながら、聡史が削除を依頼した秘密の情報が何なのかを推測できた。
圭司(山田)に祐太郎はいう。「あのまま死んじゃって、データを削除しちゃったら、ちょっとこわいね。大体想像できるけど、愛の証(あかし)では。俺たちは愛の証を消すために仕事をしているんじゃないよね」と。
ドラマはシリーズの初めは、データを削除するまでの過程を描いていた。中盤に至って、削除しない理由のなかにも依頼者の人生を読み取っていく。#6(8月31日)は雪原で自殺した女子高校生の依頼人の秘密情報を追ううちに、SNSを使って自殺願望のある高校生に接触して、洗脳して実際に自殺に追い込むネットの男の犯罪者に行き着いた。この男を待ち伏せして、車いすに乗ったままで倒す圭司(山田)のアクションは見応えがあった。
一話ごとに、依頼人のさまざまな人生模様が、山田孝之と菅田将暉のセリフによって浮き彫りにされていく。今期ドラマのトップクラスの作品である。
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