Wedge REPORT

2018年10月7日

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川端由美 (かわばた・ゆみ)

ジャーナリスト

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。

 欧州ソフトウェア最大手・独SAPもMaaSを入り口にモビリティ業界への参入を狙っている。

   シリコンバレー拠点で、同社のMaaS事業を統括するティモ・ステルツァー氏は、「プラットフォーマーやサービサーは、現段階で誰が覇者になるか予測はできない。誰が勝者になるにしても、SAPのシステムが中央にあることで、個々のサービスを通信でつなげることができる」と語る。

 SAPは元々、インターネット経由でソフトウェアを利用するSaaS分野で成長した。そのビジネスで培ったノウハウでプラットフォームのインフラを担おうとしている。

 国内最大の自動車部品メーカーであるデンソーもまた、MaaSに関連した技術開発を推進している。同社がCESで発表したMaaSプラットフォームでは、自動車メーカーや移動サービスを手掛ける企業向けに、車両情報を一元管理して共有するクラウド技術や、AIなどの情報解析、車載エッジコンピューティングなどの開発を推進するとしている。

 このMaaSプラットフォームには、車外通信、車載でのデータ解析を担う「モビリティIoTコア」が含まれる。収集したデータでモビリティの需給の組み合わせといったビッグデータの解析を行って、MaaS事業者に提供することを目指している。

 このようにMaaSが活性化していく中で完成車メーカーには何が求められるだろうか。

 今後、サービスの内容は細分化する。地域ごと、利用事業者ごとに異なるサービスが求められていき、もし自動車メーカーがそれに応えるならば、自動車の性能や形状が細分化されていく。効率よくモノを作る大量生産による、従来型の自動車メーカーのままではいられない。

 単なる完成車メーカーでは利益は望めなくなり、ニーズに対応できる部品メーカーに付加価値が移るとまで言われる。裏を返せば、MaaSへの変化に対応できる企業こそが生き残れるのだ。

発売中のWedge9月号では、以下の特集を組んでいます。
■移動革命 自動運転時代の支配者は誰だ
野辺継男、川端由美、Wedge編集部
PART 1       無人運転タクシーの登場で モビリティの稼ぎ方は新時代へ
PART 2           移動はMaaSで一括手配 金のなる木に群がる企業
COLUMN       中国富裕層好みの自動運転用EVをつくるBYTON
INTERVIEW     TOYOTAが移動革命に持つ危機感
   ・車を売るだけのビジネスには1マイルあたり1セントの対価しかもらえない
                ――ギル・プラット(トヨタ・リサーチ・インスティテュートCEO)
 ・ 国内ではトヨタ自身でモビリティサービスを提供するつもりだ
                ――友山茂樹 (トヨタ自動車副社長)
PART 3           IT、鉄道、自動車……誰が日本の移動を制するのか

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

◆Wedge2018年9月号より

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