2024年11月24日(日)

Wedge REPORT

2018年10月7日

 欧州ソフトウェア最大手・独SAPもMaaSを入り口にモビリティ業界への参入を狙っている。

   シリコンバレー拠点で、同社のMaaS事業を統括するティモ・ステルツァー氏は、「プラットフォーマーやサービサーは、現段階で誰が覇者になるか予測はできない。誰が勝者になるにしても、SAPのシステムが中央にあることで、個々のサービスを通信でつなげることができる」と語る。

 SAPは元々、インターネット経由でソフトウェアを利用するSaaS分野で成長した。そのビジネスで培ったノウハウでプラットフォームのインフラを担おうとしている。

 国内最大の自動車部品メーカーであるデンソーもまた、MaaSに関連した技術開発を推進している。同社がCESで発表したMaaSプラットフォームでは、自動車メーカーや移動サービスを手掛ける企業向けに、車両情報を一元管理して共有するクラウド技術や、AIなどの情報解析、車載エッジコンピューティングなどの開発を推進するとしている。

 このMaaSプラットフォームには、車外通信、車載でのデータ解析を担う「モビリティIoTコア」が含まれる。収集したデータでモビリティの需給の組み合わせといったビッグデータの解析を行って、MaaS事業者に提供することを目指している。

 このようにMaaSが活性化していく中で完成車メーカーには何が求められるだろうか。

 今後、サービスの内容は細分化する。地域ごと、利用事業者ごとに異なるサービスが求められていき、もし自動車メーカーがそれに応えるならば、自動車の性能や形状が細分化されていく。効率よくモノを作る大量生産による、従来型の自動車メーカーのままではいられない。

 単なる完成車メーカーでは利益は望めなくなり、ニーズに対応できる部品メーカーに付加価値が移るとまで言われる。裏を返せば、MaaSへの変化に対応できる企業こそが生き残れるのだ。

発売中のWedge9月号では、以下の特集を組んでいます。
■移動革命 自動運転時代の支配者は誰だ
野辺継男、川端由美、Wedge編集部
PART 1       無人運転タクシーの登場で モビリティの稼ぎ方は新時代へ
PART 2           移動はMaaSで一括手配 金のなる木に群がる企業
COLUMN       中国富裕層好みの自動運転用EVをつくるBYTON
INTERVIEW     TOYOTAが移動革命に持つ危機感
   ・車を売るだけのビジネスには1マイルあたり1セントの対価しかもらえない
                ――ギル・プラット(トヨタ・リサーチ・インスティテュートCEO)
 ・ 国内ではトヨタ自身でモビリティサービスを提供するつもりだ
                ――友山茂樹 (トヨタ自動車副社長)
PART 3           IT、鉄道、自動車……誰が日本の移動を制するのか

  
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◆Wedge2018年9月号より


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