国家の存立基盤そのものが挑戦を受けている
9月初めには、大統領は、トランプ・ホワイトハウスの混乱ぶりを鋭く描写した話題の本「不安:ホワイトハウスのトランプ」(原題“Fear:Trump in the White House)の著者ボブ・ウッドワード氏を「バカ者」などと容赦なく非難した。
一方、国連人権会議専門委員二人と「汎アメリカ人権委員会」は8月3日、トランプ大統領による最近のメディア攻撃に関連して特別声明を発表、その中で「トランプ氏の言動はジャーナリストが暴力にさらされる危険を増大させているだけでなく、報道の自由と国連人権保護法を蹂躙するものだ」と指摘した。
トランプ政権の対メディア対応は今や米国内にとどまらず、重大な国際的関心事となりつつあることを示している。
アメリカの歴史を振り返ると、もともとイギリスからの独立運動は、圧政に対する北米13植民地の住民たちによる異議申し立てから始まった。言い換えれば、アメリカ合衆国の建国は「言論の自由」の行使によってこそ達成されたといえる。
その「言論の自由」が今日、トランプ政権下で執拗な攻撃にさらされつつあるとすれば、アメリカという国家の存立基盤そのものが挑戦を受けていることになる。
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