米中間選挙を前に、トランプ・ホワイトハウスのメディア攻撃が先鋭化してきている。政権運営に対する批判を極力封じ込めると同時に、超保守的な支持基盤固めを意図したものだが、新聞社やジャーナリスト個人が一部の過激なトランプ支持者の脅迫電話、メール攻撃にさらされるなど、両者の関係は緊迫の度を高める一方だ。
去る8月30日、FBI(米連邦捜査局)はカリフォルニア州エンチノ在住の68歳の男性を脅迫容疑で緊急逮捕した。男の自宅からは20丁のけん銃、ライフル銃なども押収された。
「ニューヨーカー」誌電子版によると、男は東海岸のボストン・グローブ紙が、最近メディア攻撃を強めつつあるトランプ大統領を糾弾する社説を掲げたことに腹を立て、同社編集局宛ての電話で「お前らは『人民の敵』だ。一人ずつ殺してやる」などと脅迫した。
たまたま同じ日の数時間前には、トランプ氏が自分のツイッターでCNN,NBC両テレビ局の経営者に名指しでかみつき「大半のメディアの不正直な態度はいくら強調してもし過ぎない。いつも私のことについて匿名ソースを使ってでたらめ報道をしている。この中にはフェイク・ブックも含まれる。『人民の敵』だ!」と非難したばかりだった。逮捕された男はそのタイミングからみて、大統領のツイートで触発された可能性を否定できない。
このほか、8月22日には、AP通信ロサンゼルス支局に別の人物から「いずれお前らクソったれどもをぶっ放してやる」といった殺害予告電話が入ったほか、同月初めにはペンシルバニア州ステートカレッジの「ドン」と名乗る男からC-spanテレビ局に電話があり「CNNテレビのドン・レモンとブライアン・シェルターを撃つ」といずれも著名な放送記者を名指しで脅迫してきた。MSNBCの女性キャスター宛てには「あんたがレイプされ殺されるといいのだ」と記した差出人不明の手紙も届いているという。
このようなマスメディアに対する脅迫やいやがらせは、ここ半年の間にとくに増えつつあるが、同じ頃からエスカレートしてきた大統領個人による先鋭化したツイートなどによる攻撃と機を一にしているとみられる。