オトナの教養 週末の一冊

2018年9月21日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――中央アジアには、旧ソ連諸国があります。なかでも中露関係を考えるうえで重要なのは、どこの国なのでしょうか?

廣瀬:もっとも重要なのはカザフスタンですね。国土が広く、中露両国に国境を接している。しかも、中国側の国境にはウイグル自治区があり、中国とカザフスタンが共同でウイグル対策をしていたことの意味は大きいです。

 他方、ロシアにとって真の盟友と言える国が、先のユーラシア経済連合にも最初から加盟していることからもわかるように、カザフスタンとベラルーシです。地理的にも中露に挟まれ、政治的にもカザフスタンはバランサーとして重要な役割を果たしてきました。

――カザフスタンもエネルギー資源は豊富なのでしょうか?

廣瀬:石油も天然ガスも豊富で、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、中国を結ぶパイプラインが完成し、カザフスタンも中国にエネルギー資源を輸出しています。

――他にも中露関係で、重要な国はありますか?

廣瀬:ウクライナですね。ウクライナとジョージアはもともと親欧米で、NATOやEUへの加盟を目指していました。それが実現すると困るのがロシア。ウクライナのNATO加盟を阻止するためにユーラシア連合構想が生まれたとすら言われるほどです。だからこそ、ウクライナ危機が起きたのです。

 中国は、ウクライナと軍事的なつながりが非常に強い。中国はウクライナから多くの軍事装備品や技術を得てきましたが、ウクライナ由来の軍事装備品の代表格が空母「ワリャーグ」で、中国で改良され2012年に「遼寧」として生まれ変わりました。そもそも、ウクライナ危機で混乱しているウクライナ東部は、旧ソ連時代から軍需産業の集積地です。ウクライナ危機が起きてから、国内の経済が悪化し、軍事工場も稼働できなくなりました。そのために、ウクライナの軍事工場や技術者たちははなりふり構わず、中国などに技術や軍事装備品を売るようになったのです。

――さらに、北朝鮮の核弾頭ミサイル開発にもウクライナの軍事技術が関わっているとの指摘もありますね。

廣瀬:ウクライナ危機後、北朝鮮のミサイル技術が急速に発展しました。相当数のウクライナ人エンジニアが北朝鮮へ渡ったとも一部では言われています。

――ロシアから中国が武器を輸入することはないのでしょうか?

廣瀬:ロシアが中国へ輸出したほぼすべての戦闘機がコピーされ、他国に売却された過去があり、ロシアは相当な不信感を抱いていました。しかし、ウクライナが軍事機密を中国に売ってしまうこともあり、2~3年前からロシアも中国へ武器を売るようになりました。

――中露は親密なのかどうか本当によくわかりませんね。ところで、中露関係が、国際社会に今後どんな影響を与えていくと考えられますか?

廣瀬:ここまでのように中露の動向だけを見ていると、さまざまな影響がありそうですが、世界規模で見ると大した影響はないと思います。その一番の要因は、やはりロシアの国力の低下、プーチン人気の陰りなどが挙げられます。

――嘘か真かはわかりませんが、プーチン大統領の支持率は常に高い数字ですよね。

廣瀬:プーチン大統領が就任した当初はバラマキ政策や、14年のクリミア編入により支持率は80%以上を維持していました。経済制裁やルーブルの下落で経済状況が悪化した際にも、プーチンはアメリカが経済制裁を行い、石油価格を操作しているために経済が悪化していると説明し、支持率が落ちなかった。ところが、ロシアワールドカップ期間中に年金受給年齢を徐々に引き上げるという法案を発表したことで、国民の反発を買い、公式の支持率が67%、民間のシンクタンクの調査では37%まで落ちました。ロシアの平均寿命は66歳であるにもかかわらず、年金受給年齢を2028年までに男性が60歳から65歳、2034年までに女性が55歳から63へ引き上げると発表したからなのですが、その後、猛烈な反発が生じたため、8月末に女性の受給年齢は、8歳ではなく5歳引き上げ、つまり60歳とするというのは緩和案を発表しましたが、それでも国民の怒りは収まっていません。

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