2024年4月26日(金)

赤坂英一の野球丸

2018年10月3日

 一方で、短期決戦では意外な脇役が〝シリーズ男〟になることも少なくない。一昨年のCSで大活躍した田中広輔がその最たる例である。4試合で12打数10安打5四球、打率8割3分3厘、出塁率8割8分2厘と、CS史上最高の数字を残してMVPにも輝いた。この大当たりには、「神ってる」の発案者・緒方孝市監督も「CSは広輔が神ってたね」とびっくりしていたほど。カープ打線の得点力は、田中、菊池涼介の1、2番コンビがどれだけチャンスを作れるかにかかっているだけに、彼らが〝シリーズ男〟になれば日本一を奪回できる確率も高まる。

 もっとも、シーズンで絶好調だった鈴木に比べると、田中は打率2割6分5厘、菊池は同2割3分6厘と本来の状態からは程遠い。彼らの不調はすでに1カ月以上続いており、田中は優勝マジックナンバーが点灯した直後の8月18日、DeNA戦から1番を野間峻祥に明け渡し、7、8番に回された。不動の2番だった菊池も、8月4日のDeNA戦では8番に下げられ、9月22日の阪神戦では今季一度だけのベンチスタートとなった。CSで広島と対戦する可能性のあるチームのスコアラーは、そうした緒方監督の用兵を観察してこう言っている。

1番・野間は切り札になり得る

 「緒方監督は恐らく、CSを1番・野間で戦うことも考えているはずだ。足と外野守備なら間違いなく広島で一番。セ・リーグでトップクラスだからね。その野間を25試合スタメン1番で使ったことからして、緒方監督の期待度と信頼度は相当なもの。マジックが減って優勝直前になると、本来の1番・田中、2番・菊池に戻したけど、短期決戦は勢いが肝心。彼らが機能しなければ、昨年のCSや一昨年のシリーズのようにズルズルいってしまうかもしれない。そういう意味でも、1番・野間は切り札になり得る」

 16年シーズンの鈴木、17年CSの田中に続いて、18年は野間が「神ってるシリーズ男」になれるか、注目したい。

  
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