Washington Files

2018年10月22日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

シナリオⅡ<共和党勝利の場合>

【アメリカの景色】

(1)オバマ・ケアの廃案

 中間選挙勝利により国民の信託を得たとしてホワイトハウスと議会がこれまで以上に結束を強め、大統領が内政の最重要課題としてきた医療制度改革廃止が現実のものとなり、個人の自由意思で民間の医療保険を選択できる新たな制度がスタートする。

(2)環境保護規制の撤廃に拍車

 トランプ政権は発足以来、石油、天然ガス、石炭新規開発推進のため、すでに多くの政府規制措置の撤廃に取り組んできた。エネルギー開発を景気浮揚、雇用拡大のための
手段として重視してきただけに、今後、環境保護を犠牲にした開発が本格化することが
予想される。

(3)「国境壁」完成へめど

 下院共和党はこれまで、ホワイトハウスの意向に沿ってメキシコ国境全域を対象とした本格的な「国境の壁」建設のための予算配分に意欲を見せてきたが、中間選挙を前に世論動向を気にした上院共和党が慎重だったため、本格審議を見合わせてきた。しかし、選挙で勝利したことで弾みがつくことになり、大統領が要請してきた200億ドル相当の支出が正式に承認される公算が大きい。

 これと並行して、中東諸国や一部テロ支援国からの入国制限、中米諸国を対象とした不法入国者およびその家族の国外退去措置もさらに徹底されることになる。

(4)ロシア疑惑捜査にからむ人事刷新

 トランプ大統領は、これまで進められてきたロシア疑惑捜査について「でっち上げの魔女狩り」だとして、捜査の総括責任省である司法省のセッションズ長官、ローゼンシュタインタイン副長官の仕事ぶりに対したびたび不満を表明してきた。しかし、選挙で勝利したことで自信を強め、来年1月早々にも両氏の解任に踏み切り、捜査自体を早期に終了させることを画策するとみられる。

 同時に、モラー特別検察官も解任、結果として大統領としての「身の潔白」を証明する好機としたい考えだ。

(5)「人工妊娠中絶は違憲」の最終判断

 トランプ政権の強力な支持基盤であるキリスト教右派勢力は早くから、「中絶禁止」を声高に訴えてきた。このため、中間選挙での勝利を受けて大統領は年明け早々にも、正式に全米向けに禁止の大統領命令を発令する公算が大きい。

 仮に民主党系の州知事や議会が異議を唱え、最高裁に最終判断が委ねられることになったとしても、保守共和党色に染まったキャバノー新判事の就任により、保守派判事が多数を占めるため、上訴が却下され、国家としての中絶禁止が確定することになる。

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