一つ屋根の下で真面目な服づくり
カーリー&コーのオフィスはお洒落にリノベーションされてまるで青山あたりのカフェみたいである。いやはや先ほどは田舎の一軒家と言ってしまって申しわけない。さっそく川北社長の案内で工場を見学させてもらう。
日本各地に発注をかけたカットソーに使われる生地が入荷すると、最初にする作業が「延反(えんたん)」だ。ロール状で届く生地の原反を裁断するために、必要な長さや枚数に従って延反機で平らに延ばす作業である。この時、生地は延反機に掛けて延ばす前にロール状の原反を解いてしばらく休ませる。
こうして延ばした原反を型紙に合わせてマーキングしてざっくりと切っていく。これを「粗裁(あらだ)ち」という。そして粗裁ちした原反をきれいに型紙に合わせて裁断する。この作業を「小裁ち」といって、最も技術と経験を必要とする。小裁ちをできるのは、先代と現社長の川北さんの2人だけなのだそうだ。
その真面目で丁寧な作業工程は、なんだかまるで職人が美味しいさぬきうどんを生地から打って延ばして作っているみたいである。
「ええ、さぬきうどんと同じですね(笑)。私たちはこうしたすべての作業を一つ屋根の下で行うことで、職人もデザイナーも一緒になって素材選びから縫製方法の細部に渡るまで気を配って服づくりをしています。それがカーリー&コーの強みであり誇りです」
出来たてほやほやの秋冬の新作のジャケットを試着させてもらう。あちゃあ、お昼に美味しいうどんを2杯も食べちゃったから釦(ボタン)が掛からない。トホホ。
(写真・阿部吉泰)
●CURLY&Co.[有限会社川北縫製]
<所在地>香川県さぬき市大川町田面98-2
☎0879-43-3077
<URL>http://curly-cs.com/
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