中東を読み解く

2018年11月16日

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消えた総領事

 こうした中で、トルコ側が重大な証人として行方を追跡しているのがイスタンブールからサウジに逃げ帰ったまま消えたモハマド・オタイビ総領事だ。オタイビ総領事はカショギ氏の消息が途絶えた10月2日の後、「同氏が総領事館からすぐに出た」と公然とうその説明を繰り返した。

 しかし、サウジが追い詰められて同氏の殺害を認める3日前の同16日、イスタンブールから帰国、所在不明だ。逮捕された18人の中に総領事は含まれていない。総領事は殺害に直接手を染めていないものの、暗殺部隊が派遣されてくることは事前に知っていたと見られている。殺害は総領事の書斎で行われたとされているが、実際の殺害に直面してパニックになっていたという。

 総領事はたとえ殺害には加わっていないにしても、その後のもみ消し工作には積極的な役割を果たしており、事件のカギを握る人物であることは疑いない。「総領事は真相究明には欠かせないキーマンだが、サウジにとっては、もはや用済み、邪魔な存在でしかない。彼の安否が心配だ」(ベイルート筋)。事件が疑惑の残ったまま幕引きになるのか、それともまだ何か決定的な証拠が明るみに出るのか、大きな節目を迎えた。
 

  
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