12月10日、米国財務省は、北朝鮮の3人の高官に対しての金融制裁を発表した。
今回の指定により、3人の在米資産は凍結され、米国人がこれらの者と取引を行うことが禁止される。実質よりも象徴的な意味合いの濃い措置であるが、北朝鮮に一層の圧力を掛けるものであり、北朝鮮に強いシグナルを送ったものと言える。
12月10日の崔竜海等の制裁発表に続き、翌11日には、国務省が、北朝鮮では信教の自由が侵害されているとして、北朝鮮を今年も「宗教自由特別懸念国」に指定した。これは1998年に制定された「国際信教の自由法」に基づく指定であり、北朝鮮等10か国がそれに指定され、北朝鮮の指定は17年連続だという。
北朝鮮の非核化を巡る米朝交渉が膠着し、南北関係も文在寅大統領が望むようには進展していない。文在寅が熱望する金正恩労働党書記長の年内ソウル訪問もほぼ不可能になったと青瓦台も今や観念したようだ。
そんな最中に、米国は12月10日、11日と連続で人権侵害などを理由に対北朝鮮措置を出したことになる。
また、米国政府は、11月末には北朝鮮に人道支援以外の支援をしないこと、国際金融機関による北朝鮮への融資に米国から出ている理事が反対するよう訓令する大統領決定を行った。これは、6月発表の今年の「人身売買報告書」で北朝鮮等を引き続き最悪国に指定したことを受けたものである。なお、昨年11月には、北朝鮮は、「テロ支援国家」に再指定された。
北朝鮮はゆくゆく IMF、世銀、アジア銀行など国際金融機関に加盟し、融資を受けることを望んでいると言われ、韓国の文在寅政権はそれに好意的な姿勢を示している。しかし一連の米国の措置は、国際機関からの融資を難しくするものである。早速12月11日、北朝鮮労働新聞は米国による北朝鮮人権問題措置に対して、「米朝首脳会談の精神に反する極悪な敵対行為」だと反発している。
トランプ大統領は基本的に人権には関心がないと言われている。シンガポールの米朝首脳会談でも人権問題は話されておらず、その点が批判されもした。なお、米国が今月開催しようとした北朝鮮の人権侵害を議論する国連安保理会合は、今年は断念せざるを得なくなったと報道されている。中国の他、中国の圧力でアフリカの理事国が反対したので、安保理で9か国の支持が確保できなかったと見られている。
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