2024年4月16日(火)

中国はいま某国で

2011年9月13日

 世界遺産に登録された聖地を訪れる巡礼者は、近い将来全高100メートルの巨大な仏像に度肝を抜くかもしれない。台座から先端まで93メートルの「自由の女神」像(米国)を上回る大きさだ。

 その足元には5つ星ホテルができ、ブッダ誕生当時を再現した庭園が、博物館などと一緒に姿を現す。

 仏像建立費用が邦貨換算27億円強。庭園、ホテル、諸々合わせ、インフラ整備費を除いても50億円くらいかかる見込みを「ヒマラヤン・タイムズ」が伝えた。聖地を一大テーマパークにしてしまおうとの計画だろう。

 同紙によると、企画を持ち込んだ中泰京滬投資集団(北京)に対し、ネパール政府は内諾を与えた。前在ネパール中国大使が率いる会社らしい。

 お釈迦様に中国人が敬慕の情(現世利益の願望を超えた)を持つとは浅学にして知らないけれど、作ってくれる景色は日本の仏教徒からするとトゥーマッチ、ついていけないかも。

 中泰京滬には、中国から大挙旅行者が来るから投資の回収は楽だとの読みがあろう。裏を返せば、仏教の聖地はほぼチャイナタウン化するということか。その頃までには中国からの影響力の浸透でネパール・中国関係は一層抜き差しならないものとなり、南アジア地政学も変わっているだろう。ただ香港筋から一層野心的計画が現れ、これは拒絶されたとの報もあり建立開眼まで行き着くか微妙な情勢だ。

◆WEDGE2011年9月号より



 

  


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