トランプの洗脳パワー
コーエン被告は、同インタビューで「自分の弱さはドナルド・トランプへの忠誠だった」と、過去の自分を振り返りました。以前、「(トランプ)大統領の身代わりなら銃弾も受ける」と発言したほどです。
コーエン被告は次のように述べました。
「忠誠を尽くすに値しない人物に、忠誠を費やしてしまった」
クライアントの悪行の隠蔽工作に追われたコーエン被告は、トランプ大統領に完全に洗脳されていたのでしょう。
「私にはいま自由がある」
コーエン被告はこう語りました。
スピンコントロール
ではジュリアーニ氏は、どのような方法でトランプ大統領を弁護したのでしょうか。
ジュリアーニ氏は、米ABCニュースの政治番組で、スピンコントロールを用いました。スピンコントロールとは、一言で言ってしまえば、情報操作です。論点や争点のすり替え及び都合のよい証拠やデータの提示などによって、状況を自分に有利な方向へ変える政治手法の一種です。
クリケットの投手が、ボールがバウンドした後、進行方向が変わるようにスピンをかけることが由来であるといわれています。スピンコントロールに長けた人をスピンドクターと呼んでいます。正にジュリアーニ氏がそうです。
ジュリアーニ氏はトランプ大統領の不倫相手に対する口止め料に関して、「大統領は家族と子供たちのことを心配していた」と主張して、論点をすり替え、選挙結果に影響を与える目的ではなかったと結論づけたのです。さらに、口止め料について一言こう述べました。
「ハラスメント程度だった」
ジュリアーニ氏は問題の過小化を図りました。
加えて、2008年米大統領選挙においてオバマ陣営が選挙資金法違反で罰金を支払ったと指摘し、争点を変えようとしました。トランプ大統領も自身のツイッターに、オバマ陣営の選挙資金法違反について投稿しています。
当時、オバマ陣営は政治献金に関する書類の提出が期限を過ぎてしまい、米連邦選挙委員会(FEC)に37万5000ドル(約4170万円)の罰金を支払いました。
しかし、今回のトランプ陣営の選挙資金法違反は、罰金を支払うだけでは済まされません。もしコーエン被告及びパッカー氏の証言が真実であるならば、口止め料の支払いはトランプ大統領と協議したうえでの決定です。同大統領の口止め料の主たる目的は、選挙結果に対する影響であり、それが動機づけになっています。
結局、トランプ大統領は共謀して罪を犯した可能性が高いということになります。この点でオバマ陣営とはまったく次元が異なるのです。