壮大な実験
しかし、マンションの建て替え、大規模修繕に関しては、それほどのんびりとは待っておられない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「この問題はいまからやっておかないと、大変なことになる」と指摘する。「合意形成」に関して例外規定を設けるなど、何らかの対応措置をそろそろ考えるべき時期に来ているのではないだろうか。
先進国の中で、日本ほど急ピッチで少子高齢化が進んだ事例はない。東京という大都市は大企業の本社が集中し、首都行政機能と経済機能が1か所にまとまり、働くにも住むにも便利な街として君臨してきた。その巨大都市も成熟化の時期を迎え、人口減少化の下で中枢機能を維持しながら世界をリードできる大都市に変われるかどうかが問われる。人口1000万人を超える東京で、過去に例のない世界で初めての壮大な実験が始まろうとしている。首都圏のマンションが将来にわたって資産価値を維持できるかどうかは、この実験結果にかかっている。
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