2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2019年1月9日

 マーケティング本部の田中秀明エンタープライズマーケティングマネージャーは「既に3Dでデザインしている企業や個人は多く存在する。HolodeckはたとえばCADやBIM(建築物の3Dモデル)のデータを既に取り込めるため、彼らデザイナーが議論したり設計したりするVRプラットフォームになれば、と考えている」と展望を語った。

続くソフト・ハードの進化
現実を越えていくVR

 そして、VRのハードウェアが網羅する人間の領域も拡張してきている。スウェーデンのアイトラッキング(視線計測)大手トビー社は、前述のVIVEにアイトラッキング機器を搭載した。既存のVR機器では、VR空間内である対象を選択したいとき、レーザーポインタの要領でコントローラーを操作するのが主流だ。だがアイトラッキング搭載型ではVR空間の中で「見る」だけで、マウスのカーソルを合わせるかのように対象を選択することが可能になる。

 トビー日本法人の蜂巣健一社長は「アイトラッキングの本質は視線によるターゲッティングだ。これにより、VR空間内でのアイコンタクトや、見ている部分だけ高解像度にして処理能力の節約、などができる」と語る。

 VR空間内での「触覚」を再現しようとしているのが、ベンチャーのイクシー(東京都中央区)だ。腕に着けるモーター入りの装置で、触れた感覚、重み、反動などを再現する。日産などの設計分野で活用されており、「サイズや広さは見ただけではわかりにくい。触覚があると距離感が掴(つか)みやすくなる」(山浦博志CEO)

 VR界隈(かいわい)の進化は続く。19年4月には、オキュラスが新型「オキュラス・クエスト」を399ドルで発売する予定だ。クエストはPC不要かつ、センサーで部屋の広さをスキャンしVR空間に反映、自由に動き回ることができる。そうしたハードやソフトの進化に伴い、VRの企業利用もますます拡大していくだろう。

 
 
 
 
 
 
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◆Wedge2019年1月号より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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