From LA

2018年12月10日

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 今年のロサンゼルスオートショーである意味最も注目を集めたメーカーのブースは、ボルボではないだろうか。オートショーと言えば各メーカーが持ちうるラインナップや新型モデルを並べ、訪れる人にアピール、さらには商談まで行われる場だ。

「THIS IS NOT A CAR」を掲げるボルボ(Photo by Jack Kan)

 しかし今年、記者が集まるプレスデーのボルボのブースには一台の車も存在しなかった。もちろん一般公開される日からは数台の車が並べられ、特に2020年発売予定のV60クロスカントリーは目玉の一つでもあった。ただし記者会見の中でこうした新型車についての説明はなく、実車も存在しなかった。

 では、ボルボはオートショーで何を語ったのか? まず会場には4つのバナーが掲げられていた。最初に発表されたのはグーグルと提携した車用のアンドロイドOSシステムの開発だ。この車載OSがもしかすると今後のスタンダードになるかもしれない。アンドロイドベースではあるがiPhoneユーザーであってもシームレスにシステムにつなぐことができ、車の内と外とのギャップをなくしてユーザーに携帯で楽しむコンテンツをそのまま車内で楽しんでもらおう、というものだ。

 ボルボではパートナーとしてアンドロイドを選んだ理由に「サードパーティのソフトが使いやすく、非常にオープンなシステムであること」を挙げた。アンドロイドスマホユーザーが自分の好みでソフトをダウンロードし、カスタマイズする感覚を車内エンターテイメントシステムにそのまま持ち込む、というのがコンセプトだ。

 これと関連して重要なのがアマゾンアプリの存在。ボルボではアマゾンと提携し、「ネットで購入した商品を車内にデリバリー」するシステムも構築する、と発表した。アマゾンのデリバリーに対して共有コードを作ることで、車内にいなくてもロックされた駐車中の車をアンロックして商品を車内に届け、再び車をロックする、というシステムだ。ネットで買った商品をできるだけ早く便利に手にしたい、というユーザーから評価されそうなシステムでもある。

 そしてボルボは新しい車のオーナーシップのあり方についても革新的なアイデアを持っている。このところいくつかの自動車メーカーが「月額制サービス」というものを提供している。ボルシェ、キャデラックなどが代表的だが、月々に一定額を支払えば何度でも車を乗り換えられる、というサービスだ(上限回数や乗り換えできるモデルはプランにより異なる)。

 しかし、魅力的に感じられるプランだが料金はその分高く、ポルシェの場合は月に2000ドルあるいは3000ドル、キャデラックでも1800ドルだ。キャデラックでは今年12月1日からこの月額制プランを一時停止するなど、あまり人気のない様子が伺える。

 これに対しボルボが提供するCAREと呼ばれるものは、月額制とリースの中間のようなシステムで、契約期間は2年、保険やメンテナンス込みでの価格は月額650または850ドルとリーズナブルだ。しかも1年が経てば新しい車に乗り換えることも出来る。携帯電話の契約のような短期間、しかも諸費用込みということで月額制プランの中では圧倒的人気を集めているが、ボルボではこのような形での車のオーナーシップを今後も進めていく、という。

 最後に、ボルボでは今後の自動運転への取り組みとしてLuminar社との提携を発表した。レーザーによって車が周囲を認識するlidarと呼ばれるシステムは、周囲250メートルの障害物を認識することが可能だという。ボルボでは自動運転車両のコンセプトとして「360c」と呼ばれる車を発表しており、飛行機のキャビンをイメージした、という自由度の高いインテリアを持つコンパクトなボディでゆったりと市街地をストレスなく移動できるイメージだ。

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