海野素央の Love Trumps Hate

2019年1月9日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

保守派コメンテーターの圧力

 トランプ大統領は国境の壁建設に、異常なまでのこだわりを見せています。その背景には、支持者に影響力を持つ保守派コメンテーターからの圧力があります。例えば、保守系政治解説者のアン・コールター氏は、「壁の建設が実現しなければ、トランプにはレガシー(政治的功績)はない」「壁の建設が進まないなら2020年、トランプには投票しない」とまで言い切っています。

 そこで、トランプ大統領は是が非でも壁を建設しようと必死になっています。壁の効果に関して、「イスラエルでは壁は99.9%機能している」と主張しています。

 壁建設費については、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を通じて、メキシコが費用を支払うというのです。しかし、どのようにしてメキシコが支払うのか、具体的な説明を行っていません。

 さらに、「コンクリートではなく、(米国製の)鋼鉄の壁建設を目指す」「製造業の雇用を創出する」とも語り、国内の鉄鋼業界で働く労働者に向けてアピールをしています。

 トランプ大統領の壁建設に対するこだわりはポスターにも現れています。「THE WALL IS COMING(壁が建設されつつある)」というメッセージが印刷されたポスターを作成しました。ポスターのレイアウトを壁にして、「COMING」の「O」の文字の中にも壁を描き、不法移民の流入を防ぐという意味を含めています。

 要するに、トランプ大統領はジェームズ・マティス前国防長官、ジョン・ケリー前首席補佐官及びH・R・マクマスター前大統領補佐官といった退役軍人の助言には聞く耳を持たず、支持者に影響力のある保守派コメンテーターの意見には耳を傾けるわけです。

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