この熱き人々

2019年3月26日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 「オールドとクラシックの違いかなあ。変わっていくのがオールドなら、それでも変わらないのがクラシック。写真はみんな写し出しちゃうけど、イラストは見えたものをすべて描くわけじゃない。本物の中の違和感を取り除いて、そのファッションの持ついいものを抽出して、そこを表現する。細部にはこだわるし、写実画ではあるけれど写真のように描いているわけじゃない。『わ、すごい。写真みたい』って言う人がいるけど、それって僕にはあんまりうれしくないんです」

 描くものの本質を掴み出し、それをデフォルメして、もう一度写実に戻して描かれるからこそ、流行りすたりの波を乗り越え時を経ても魅力を保ちうるということなのだろう。

 綿谷は、50年代に花開いたアメリカン・イラストレーションのスタイルにしっかりとこだわりつつ、実は一方でその表現世界をさまざまな方向に広げてもいる。一貫して追い求めている緻密にして繊細なイラストをマジタッチ、マンガ風のイラストで流行や世相を描くものをコミカルタッチやバカタッチと呼んで、作風を使い分けている。

 
 

 「80年代に、西洋のファッションそのままではなく日本人には日本のファッションをと志すデザイナーたちが登場して、DCブランド、ドメスティックブランドが台頭してきた。今までのようなアイビースタイルを描くのに西洋を手本にしていた絵では対応できなくなったんです。日本人のファッションなのでイラストも日本人にすると、マンガチックに描いた方がリアルに表現できるかなと思って、そこからコミカルタッチが生まれたんです」

 受けを狙ったわけではなく、どう表現したらDCブランドのよさが伝わるかと考えた末にこの作風になったという。それを編集者が綿谷の新しい表現方法として面白がった結果、コミカルタッチのルポルタージュやイラスト付きのコラムなどが生まれた。DCブランドのための作風が、「コンサバお洒落妄想図鑑」「苦悶式ちょっこし夜遊び学習帳」「ナウのれん」など、ちょっとシニカルで面白い連載へとつながったわけだ。

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