2024年4月25日(木)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年3月22日

トランプの白人至上主義者擁護のワケ

 ニュージーランドで起きた2カ所のモスクを狙った銃乱射襲事件で、オーストラリア国籍の白人男性が逮捕・起訴されました。「白人至上主義者」を名乗るこの男は、移民を「侵略者」と呼び、彼らに対して敵対心を強く抱いていたと、メディアは報道しています。

 トランプ大統領もメキシコとの「国境の壁」建設を正当化するとき、移民を侵略者と呼び、敵視して有権者を煽ります。

 トランプ大統領はホワイトハウスの記者団からの「白人至上主義の脅威が世界中で高まっていると思いますか」という質問に対して、「そうは思わない。深刻な問題があるのは一部の人々だ」と回答し、白人至上主義を厳しく非難しませんでした。

 トランプ大統領のこの発言に疑問符がつくと、ミック・マルバニー大統領首席補佐官は政治番組に出演し、「トランプ大統領は白人至上主義者ではない」と主張しました。大統領首席補佐官自らが、大統領を白人至上主義者ではないと断言するのは、異例中の異例でしょう。

 しかし、トランプ大統領は過去にも白人至上主義者を擁護する発言をしています。南部バージニア州シャーロッツビルで17年8月12日、白人至上主義者と反対派が衝突し死者が出ました。その際も、「喧嘩両成敗」の立場をとり、双方に責任があるとし、白人至上主義を明確に否定しませんでした。

 率直に言ってしまえば、航空・軍需産業の労働者と同様、白人至上主義者はトランプ大統領の支持基盤の一角を成しているからです。同大統領のうえの発言の背後には、たとえ白人至上主義者であっても、支持基盤を構成する彼らの票の確保を最優先するという思惑があります。


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