WEDGE REPORT

2019年3月28日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

スタートアップが集積

 またこの数年、急速に開発が進んだのがイーストリバーの対岸にある家賃の安いブルックリンのテック・トライアングルと呼ばれる地域だ。このトライアングルは、ダンボ、ネイビーヤード、ブルックリンダウンタウンで構成され、すでに500以上のスタートアップ企業が集積、金融、サービス、ファッションなど多様な業種の新興企業が誕生している。多くの新興企業が同じビルの中に雑居するような形で入居しており、オフィススペースを共有(シェア)する形を取っている。そうすることで、お互いの得意分野と不得意分野を補い合うことができるメリットがあるようで、規模の小さいスタートアップ企業にとっては居心地の良い空間が生まれている。

 「Dock72」が建てられたのがネイビーヤードで、文字通り海軍の造船所の跡地に大きな構造物が出現した。6万平方メートル以上のオフィススペースがあり、多くのベンチャー、スタートアップがオフィスを構えている。天井が高くて部屋の空間が広く、大部屋の中に机を置いて共有スペースの中で仕事をするスタイルが特長だ。

ダンボのEtsy

 ブルックリンの代表ともいえるのが、2005年にダンボで創業して急成長を遂げたEtsy(エツイ)だ。ハンドメイド製品をeコマースサイトで販売するビジネスで、木目を生かした家具や調度品などが有名。エコで個性的な商品をサイト上で売り出して人気を集め、製作者と消費者をつなぐECプラットフォームを作ることに成功、世界のアーティストにとってこのサイトに出品することがステータスになっている。

新しいアイデアで世界をリード

ダンボのWeWork

 また、10年にマンハッタンのソーホーで創業し、オフィスを提供することで急成長した「WeWork(ウィーワーク))は、ニューヨークで50以上のレンタルオフィスの拠点を設け、拠点の数ではスターバックスの店舗数と比べられるほど急増している。シェアオフィスの形態でオフィスを運営、中小企業や少規模経営者などに貸し出して家賃収入を得ている。  

 「Dock72」のキーテナントとしても入居する予定だ。現在、世界中の102の都市に600カ所以上のコミュニティ型シェアオフィスを展開、日本ではソフトバンクグループと組んで17年に「WeWork Japan」を設立、東京、大阪、名古屋、福岡などにシェアオフィスがあり、今後は拠点作りを加速させる計画だ。

 06年に広告サービス企業として創業したYext(イエクスト)は、クラウドを使った独自の位置情報サービスを提供して急成長、17年にニューヨーク証券取引所に上場を果たした。店舗の営業時間や住所などの情報を一元管理できるクラウドソフトウェア「ナレッジマネージャー」は多くの大手企業で導入され、日本でもクロネコヤマトが昨年11月に採用した。このようにニューヨーク発の多くのベンチャーが新しいアイデアを生かして世界のマーケットに挑戦し、成功を収めている。

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