苦しい選択
数年ぶりにニューヨークを訪問したので、いくつか本屋をのぞいてみた。アマゾンは大半の本をネットで販売しているが、15年にシアトルにリアル書店「アマゾンブックス」1号店を開き、17年5月にニューヨークにも本屋をオープンした。
訪れたのは昨年オープンした34丁目の店だった。天気があまりよくなかったせいもあってか、店の中はすいていた。新刊本はジャンル別に分かれていて、「ブックカルチャー」のデブリンが言っていたように、入り口付近には評価の高い本4つ星以上の本が並べられていた。本の見せ方で特長なのは、平積みではなく、大半の本の表紙が見えるように置いてあり、表紙を眺めているだけでも楽しい。
アマゾン製品である電子書籍端末「キンドル」や音楽の再生やニュースの読み上げをしてくれるスマートスピーカー「アレクサ」なども売っていた。現金は使えず、クレジットカードかアマゾンアプリのみで支払いをする。
グリニッジビレッジにある老舗の「ストランド」は大勢の客でにぎわっていた。ここは本だけでなく旅行者の土産物を売っている店と言う雰囲気で、バッグなどお洒落な小物もたくさん置いている。日本でいえば丸善か紀伊国屋というイメージ。
ニューヨークで一番大きな本屋と言えば大手書店チェーンの「バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)」で、600以上の店舗がありマンハッタンには現在6店舗ある。そのB&Nは昨年の2月に経営難から従業員のレイオフに踏み切って話題になった。この10年間、人員を削減してきたが、それでも業績が上がらなかった。
日本では2000年ごろに全国に2万ほどあった本屋の数が、いまでは半数の1万にまで激減したといわれる。ネット通販巨人のアマゾンの存在感が大きくなる中にあって、リアルの書店がどうやって生きていくのか、どこも難しい選択を迫られそうだ。
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