2016年7月にこのコラム「ビジネスパーソンのための食育講座」をスタートさせた。単なる栄養学の紹介ではなく、ビジネスパーソンにすぐに役立つよう「無理なく実践!」を心がけた。コンビニの利用法やラーメン等を代表とする外食の食べ方など、毎日の生活をしながら「ほんの少しでも健康的な食生活に近づく」ための紹介をしてきた。読み返してみると結局は、毎回「バランスよく・適量を食べましょう」ということを、“手を変え品を変え”言ってきたにすぎないことがわかる。
今回はコンビニで買えたり、外食で選べたりする「具体的一例」をご紹介しよう。
「健康的な食事」の実例
私が薦めるのはスマートミール。これは単に「健康にいい食品」というものではなく、どちらかというと「健康的な考え方」をメニューの形にした物、というほうが近いだろう。
数年前に、国(厚生労働省等)が中心となって約2年をかけて検討を行ない、「健康な食事」なるものを、ほぼ完成させた。しかし、実行直前になって「検討が不十分」という意味不明な(これは私の個人的見解)理由によって、それが頓挫した。長い時間と多大な労力を費やしてできあがった「健康な食事」の考え方を活かすために、「国がやらないのなら、学術関係者で再構築しよう」と完成させたのがスマートミール。
その「中身」に興味のある人はスマートミールのホームページ【※1】の中の基準【※2】をご覧いただきたいのだが、ビジネスパーソン向けにごく簡単にご紹介すると、次のようになる。
・カロリー量の違いで2つのカテゴリーがあり、通称「ちゃんと」と「しっかり」に分かれている。一般的には、女性は前者を参考にし、男性は後者を参考にすればいいだろう(活動的ではない高齢の男性では「ちゃんと」の人もいるし、活動的な若い女性では「しっかり」の人もいる)。
・野菜は「一食分で140g以上」がとれる。
・食塩(食塩相当量)は「ちゃんと」が3.0g未満、「しっかり」が3.5g未満。
一言でいえば、「バランスよく・適量に」を実現する1回分の食事である。
「食べ物」そのものではなく
「考え方」を具体化したメニュー
このスマートミールは、かつての「6つの食品群」や「一日30食品」、現在提唱されてあるコマ型の「食事バランスガイド【※3】」等々、これまでの「食事ガイド」とは基本的な違いが2つある。
その1つは、国(厚生労働省)が提唱してきたのは「対象が食事」であることが多かったのだが、スマートミールは、認証対象を「店舗」にしてある点。2つめは、認証する店舗の条件として、単に上に紹介した「食事基準」が満たされてあればいいだけではなく、「禁煙である」とか「説明できる人が店内にいる」などの環境条件も必須項目として掲げてある点だ。こちらも詳細は認証基準【※4】を確認していただきたい。
つまり、「これを食べれば健康になれる」ということではなく、「こういう環境の元で」「このような考え方に沿って」食習慣を継続することが、健康な長寿につながるということを強調したといえるだろう。これは(あえて言わせてもらえれば)筆者がこのコラムでずっと言い続けてきた「健康のためには食べ物よりも食べ方が大切」という主張に沿うものだといえる。
【※1】http://smartmeal.jp/index.html
【※2】http://smartmeal.jp/smartmealkijun.html
【※3】https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
【※4】http://smartmeal.jp/ninshokijun.html